第386話 始めていいのか?
リュー 「お前がキロイバか?」
ヒショ― 「いえ、私は秘書をしとりますヒショ―言います、よろしゅうに」
リュー 「秘書の、ヒショ―さんね……それと “ヒショーの愉快な仲間達” ってところか?」
ヒショ― 「別に愉快な仲間ではありません、全員戦闘奴隷ですから」
リュー 「で、キロイバはどうしたんだ?」
ヒショ― 「マスターはここには来ません、私が代理って事で」
リュー 「決闘して俺が勝ったら謝罪と賠償するとか書いてあったが? お前が代理で
ヒショ― 「いえいえ、私は戦闘員ではありませんので。もちろん、ギルドマスターのキロイバ様もね。戦闘は、代理で戦闘奴隷が行います。奴隷ギルドですしね」
リュー 「俺のほうにはその決闘を受けるメリットが無い気がするんだが?」
ヒショ― 「ですから、奴隷ギルドのマスターの謝罪と賠償が得られます」
リュー 「俺がそんなもの欲しくないと言ったら?」
ヒショ― 「それじゃぁ、何のためにここまで来られたんで?」
リュー 「…面白そうだったから?」
ヒショ― 「…まぁ、どうであれ、申し出を受けるいう返答を頂き、こうしてここに来はってるわけですし。今更言い逃れはできませんよ?
戦わずに逃げればいいと思ってはるかもしれまへんが、こちらの戦闘奴隷は冒険者で言えばA級以上の者ばかりです、それを三十人ばかり用意させて頂きました。そちらさんの面子、あんさんを含めても四人しかいらっしゃらんようですから、逃げ切れはしまへんでぇ」
リュー 「知ってるかどうか分からんから一応言っておくが、俺は先日Sランクに昇格したぞ? Aランクで相手になると思ってるのか?」
ヒショ― 「いくらSランクとは言え、Aランク級三十人相手に勝てるとは思えまへんが?」
リュー 「たとえ千人連れてきたところで問題ない」
ヒショ― 「いやいやいや、さすがに自信過剰ちゃいますか?」
リュー 「まぁ、実際に見ないと信じられんか。それに、俺の予想を超える相手もいるかも知れんからな」
ヒショ― 「相当自信がおありのようですが、これは “正式な決闘” として認定されていますよって。勝っても負けても恨みっこなしって事でよろしおます」
リュー 「正式な決闘ねぇ? 大勢で一人を戦るのは卑怯じゃないのか?」
ヒショ― 「さっき、自分で言うてましたやん、Sランク認定を受けた冒険者相手ですから、ハンデ戦くらい当然でっしゃろ?
そもそも、力づくであんたさんを奴隷にしろというのがマスターのキロイバはんの指示なんですわ。
たとえ筋が通らなかろうと、奴隷になったら訴える事はできまへんから問題ありません」
リュー 「正体を顕したな。無理やり奴隷にするか。犯罪じゃないかそれ?」
ヒショ― 「私やおまへん、ギルドマスターの命令ですさかいね」
リュー 「まぁなんでもいいや、もう。どうせ俺が勝つからな。こちらは俺一人で戦う。仲間には手を出すなよ?」
ヒショ― 「あんさんらのお仲間はんらが手出ししてこないのであれば、こちらも手出しはしません。では、了承という事でよろしおますな?」
リュー 「いいだろう」
ヒショ― 「では……」
ヒショーが後ろに下がり、戦闘奴隷たちが前に出てきてリューを取り囲むように移動していく。
ヒショ― 「ああ、いい忘れてましたが、戦闘奴隷の中には元Sランクの冒険者だった者も混ざってますんで。
言ったでしょ? Aランク “以上” って。では、健闘を」
リュー 「ほう?」
瞬時にリューは神眼を使って全員を鑑定してみると、どうやら一人、突出したパワーを持つ者が居るのが分かった。その者の顔を見るリュー。
ゼヒロ 「おいおい、俺がSランクだったって、一瞬で見抜かれてしまったらしいぞ? だが安心しろ、俺は最初は手を出さん。まずはコイツラを相手にしてもらって、俺が出るほどの価値がある相手だと分かったら、相手してやるよ」
コリン 「ぼ、僕も! とりあえず様子見で! 僕が暴れると他の戦闘員も巻き添えになっちゃうんで」
リュー 「いいのか? 一緒に掛かったほうが勝てる可能性が少しはあがるんじゃないか?」
ゼヒロ 「いいねぇ、随分自信過剰な御仁だ。まぁ、口だけじゃないなら、後で相手してやんよ」
ヒショ― 「やれやれ、一緒にやれと言ったのに、しょうがないやっちゃなぁ……まぁええか」
ゼヒロとコリンが下がり、リューを取り囲む戦闘奴隷は二十八人。
リュー 「さて……コイツらは、殺しちゃっていいのか? リリィ? 命令されて仕方なく従ってるだけだったらそこまでするのは気の毒か?」
リリィ 「うーんまぁ、いいんじゃない? 戦闘奴隷に落ちるような奴は、ロクな奴じゃない事のほうが多いから。中には同情する事情がある者も居るかもしれないけど、まぁ、運が悪かったって事で」
戦闘奴隷 「おいおい、もう俺達に勝った気でいるのか? 舐めるなよ?」
リュー 「もう始めていいのか?」
リューが舐めるなと言った男を無視してヒショ―のほうを向いて言った。
ヒショ― 「いつでもどうぞ」
リュー 「じゃぁ、遠慮なく」
次の瞬間、リューを取り囲んでいた戦闘奴隷二十八人の首は、胴体から離れて地面に落ちていた……
― ― ― ― ― ― ―
次回予告
Sランク冒険者ゼヒロと対決
なんとリューが負ける!
乞うご期待!
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