第302話 ランクアップ試験終了

二対一となり、手数が足りなくなったスケルトン兵は、壁際に置いてあった予備の木剣をもう一本抜き取り構えた。


リュー 「おお、二刀流」


二本の木剣を持ったスケルトン兵に対し、二人のCランク冒険者も善戦したが、最終的にはスケルトンの勝利に終わった。


負けた冒険者達も納得していた。そもそも、Aランク級の剣士相手にCランクでは適うはずがないのである。


冒険者 「うーん、歯が立たんとは。それも、かなり手加減してくれていたようだな……最初から本気だったら勝負にもならなかっただろう」


さすがはCランク冒険者である、スケルトンが手加減していたのに気づいていたようだ。


実は、スケルトン兵は冒険者をなるべく傷つけないように命じられていた。最初から手加減なしで戦っていたら、冒険者達は瞬殺されて大怪我を負っていたであろう。


Fランク冒険者の少年がおずおずと手をあげて質問してきた。


少年 「あ、あの~、スケルトンというのは、みんな、こんなにも強いものなのですか?」


ランスロット 「いや。これは私の部下達だけですぞ、普通のスケルトンはそこまで強くはないからご安心めされよ」


パーシヴァル 「我々の軍団に入れるのは、スケルトンになって何百年も経って、その実力が認められた者だけだ。そして入団後、さらに訓練を続けてやっと一人前になる。一般のスケルトンと同じと思わないほうがいい」


ランスロット 「もともと、生前からそれなりに腕が立った者も多いのですよ。アンデッドというのは、生前の強さをそのまま引き継ぎますから」


少年 「普通のスケルトンというのは、どれくらいなんですか?」


ランスロット 「スケルトンになりたての者なら、まぁ、アナタでも頑張れば倒せるレベルだと思いますよ。ちょっと試してみますか?」


そう言うと、一体のスケルトンが訓練場の中央に現れた。


ランスロット 「これは先日アンデッド化したばかりのスケルトンです。聖属性(光属性)魔法は使えますか? 使えない? それだと一人では少し荷が重いかも知れませんね、では複数でチャレンジしてみたら良いでしょう。さぁ? どしました? さぁどうぞ? 思い切りやっちゃって構わないですよ?」


展開に戸惑っていた少年であったが、良い機会だからやってみろとキングに促され、仲間二人と共にスケルトンと模擬戦をやってみた。スケルトンには木剣を持たせているが、少年達は真剣である。


多少苦労したものの、最後はスケルトンの硬い骨を断つことに成功し、少年達が勝利した。良い経験になったようである。


キング 「ええっと、当然、アンタ達は、もっと強いって事なんだよな? 今のじゃなくて、さっきCランクに勝ったスケルトンよりも?」


パーシヴァル 「遥か・・に」


キング 「そ、そうか…、では、審査は合格とする。この三人を、暫定Bランク冒険者と認定する。なるべく早いうちに護衛依頼の条件も達成してくれ」


リュー 「スケルトンに護衛依頼を頼む者が居ればいいんだけどな……」


ランスロット 「確かに……それは難しいかもしれませんねぇ……」


キング 「ま、まぁ、機会があったらでいい。条件を満たさなくてもBランクから降格という事はない。ただ、暫定の文字は取れないがな」


ヴェラ 「ねえ、今、スケルトン兵達が街の警備を補っているわよね? それを持って護衛依頼達成の代わりに認定と言う事にはできない?」


キング 「ああ……なるほど。ただ、それはギルドに出された依頼ではないからなぁ……」


ドロテア 「ならば、それは正式にブリジットから冒険者ギルドに依頼として出させよう。そもそも、リューは冒険者としてブリジットの依頼を受けていたのだから、最初からそうすべきだったのだ。早急に処理するよう、ブリジットに言っておく」


キング 「ああ、いや。そういう事なら、急がなくて良いですよ、ドロテア様。後でも結構です、今はいろいろと、お忙しい状況でしょうからね。


…では、スケルトン三人組は【暫定】も解除、晴れてBランクを認定とする!」


リュー 「まぁ、本当は、この三人も、Aランク以上の実力があると思うんだな。多分……S級?」


キング 「ま、まぁ、それは、リューも含めて、後で王都ででも認定してもらってくれ。この街ではトップの俺がBなので、それ以上の人間はできんのだよ」


リュー 「まぁ、Bでも十分か、トラブル防止の意味でのランクアップだしな」


ガーメリア 「そもそも、スケルトンが従魔だというのも聞いたことがないし。スケルトンが冒険者に、しかもBランク認定とか、もうなんでもありだな……」


ドロテア 「面白いだろう? 本当に面白いよ、リュージーンは」



― ― ― ― ― ― ―


次回予告


ドクロ仮面


乞うご期待!



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