第301話 スケルトン VS 15人の冒険者
結局、ランスロットの提出した魔物の素材は量が多すぎて確認がすぐに完了しないと言うことで、評価点数とその買取金の支払いは後日という事になってしまった。
だが、間違いなくギルドポイント五千点以上にはなると、ギルドの鑑定士が見込み判定をくれた。
Bランクの受験資格となっている基準点は五千点である。点数だけで言えば、Bランクの受験資格がある事になる。Eランクの受験資格は軽く超えているのは当然として、それ以降のランクの資格要件がクリアできていればBランクの受験が可能という事になるが……
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◇Dランク受験資格
1.基準点(五百点)以上のポイントを取得している事
2.ギルドの依頼達成で百点以上のポイントを取得している事
3.魔物の討伐依頼の達成で百点以上のポイントを取得している事
4.魔物の素材納品で百点以上のポイントを取得している事
5.護衛依頼の達成で百点以上のポイントを取得している事
6.犯罪者の討伐依頼達成または戦争参加の経験、またはそれに準ずる経験がある事
7.上記以外の内容のギルドへの貢献度によるポイントを百点以上取得している事
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◇C・Bランク受験資格
1.基準点以上のポイントを取得している事
2.無詠唱で魔法が発動できる事(魔法王国ガレリアのみの独自ルール)
3.その他、ふさわしい実力と実績があると認められる事
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Dランクにある項目1~4については魔物の素材納品と同時に、依頼を受任達成したように処理してくれるということでクリアとなった。
また、6・7については、先日の領主の逮捕事件における警備隊と騎士との戦闘で多大な貢献があったと認め、クリアとなった。
だが、5の護衛依頼に関しては、依頼自体を受けていないのでクリアできない。
ただ、異例続きではあるが、特例としてこれも「暫定」でクリアと認めるとギルドマスターのキングが英断を下した。スケルトン達のBランクの受験資格を認めると言い出したのである。
(ちなみにBランク以上にある条件―――無詠唱で魔法が発動できる事―――もランスロット達は難なくクリアしている。)
となると、いよいよ実技試験、模擬戦と言う事になるが……
先程リューと模擬戦を行ったばかりで疲れていると言う事で、キングはスケルトン三人の模擬戦の試験官を辞退(というか必死で拒否)した。
ではどうするか? キングは他の冒険者に試験官の役を振ったのである。だが、誰も自分から名乗りを上げる者がおらず。仕方なくギルマスの強権発動で、無理やり冒険者達を指名した。とは言え、ダヤンの街にはBランクの冒険者はキング一人、あとは全員Cランク以下の冒険者である。Bランクの試験官を務められる者は居ない。だが、Cランク・Dランクの冒険者を複数出すということで、Bランクの試験の代わりとした。それでランスロット達も納得した。
だが、ランスロット側も条件を出した。なんと、ランスロット・パーシヴァル・エヴァンスの三人は模擬戦に出ないと言うのだ。ランスロット達も、試験に代理の者を出すと言う。誰を出すかと言うと、自分たちの擁するスケルトン兵士を一人だけ出すと言うのだ。しかも、軍団の中でも末端に近いレベルの低い兵士だという。当然、ランスロット達よりもはるかにレベルは低い。この兵士一人が冒険者達に勝てれば、ランスロット達はそれより遥かに強いのだから、実力の証明にはなるだろうと。
依頼達成も、試験官も受験者もすべて代理を認めるという、前代未聞の話になってしまうが、実力を図るには十分だとキングがそれを了承した。そのほうが試験官を務める冒険者達の負担が減ると思ったからである。
キングは自分の常識を超える事態の連続で思考停止になっており、少し投げやりになってきていた部分もあるのだが、上級種の中でも特級レベルの魔物が冒険者登録を迫っているのである、多少は同情の余地はあるだろう。
冒険者達も、危険度ランクではA以上(もしかしたらSクラスである可能性もある)の可能性が高いランスロット達と戦わなくて済むのだから、ほっとしていた。
リュー 「危険度ランクA以上なんだったら、もう試験なしでA認定でいいんじゃないのか?」
キング 「ま、まぁ、形式的なもんだ。何もしないで認めたなんて報告があがると、ギルド本部も納得しないだろうからな」
というわけで、再び模擬戦である。
場所はギルドの訓練場。一人のスケルトン兵士を十五人の冒険者が取り囲んでいる。
囲んでいる冒険者の内訳は、Cランクの冒険者が二人、残りはDランク六人、Eランク五人、Fランクまで二人含まれていた。
Fランクの二人は初めて見るスケルトンに怯えた顔をしていたが。(ダヤンの街の周辺にはアンデッド系モンスターはあまり出没しないのだ。)
試合が開始される。しかし、あっという間に決着がついてしまった。
開始と同時にスケルトン兵の姿が薄くなり、消えてしまったのである。
そして気がつけば、スケルトンはCランク冒険者の横に立っており、木剣を冒険者の喉に突きつけていた。
慌ててその近くに居た冒険者がスケルトンに斬りかかるが、またしてもスケルトンは消えてしまい、斬りかかった冒険者の後ろから木剣を突きつけてくるのだ。
次々と、あっという間に全員が同じ目に遭い、全員敗戦認定~戦意喪失となってしまった。
だが、キングはそれでは納得しなかった。
キング 「剣の実力が見たい、消えないで剣で打ち合ってみてくれないか?」
そしてキングの目配せでCランクの冒険者が出てきて、スケルトン兵と一対一で打ち合う事となったが、普通に剣技を競っても、スケルトン相手に冒険者は歯が立たない。
ランスロット 「ウチの兵士達は、末端レベルでも剣技は達人級ですからな」
一人では敵わないと見て、もうひとりのCランク冒険者が参戦してきた。
二人のCランク冒険者 V Sスケルトン末端兵 である。
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次回予告
スケルトン模擬戦 後編
乞うご期待!
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