第193話 不死王のお土産と新しい相棒
不死王は、外界に帰るリューに土産をくれた。指輪である。それはなんと、不死王の率いる
一人でも世界を相手に戦える力を持つリューである、そんなものは必要ないと断ろうとしたのだが、不死王はリューにも限界がある事を指摘した。
リューの弱点、それは、リュー自身は最強であっても、リューが一人しかいないという事である。
リューは自身を守る事はできるが、それ以外の者を同時に守ろうとすると限界があるのだ。例えば、同時に複数の場所で危機が迫っているという時、リュー一人では同時に救える人間の数には限界があるだろう。
ミムルの街は、リューが他に出掛けている間に滅ぼされてしまった。その事を思い出したリューは、不死王の贈り物をありがたく受け取り、レギオンを受け入れる事にしたのだった。
もちろん、死霊軍団なので、人前で使う事は憚れれる。だが、レギオンの兵士達は姿を消す事もでき、その状態のまま活動できるそうなので問題ないそうだ。
また、レギオンのアンデッド兵士達は非常に高度な知能を持っており、自身の判断で動けるので、例えば自分が守りたい人間に姿の見えない護衛をとしてつけておくという事もできるのだそうだ。
最初は不要と思ったリューだったが、話を聞くと、意外と使い途はあるかも知れないと思うようになった。
ダンジョン奥深くの不死王の研究所での対話は、リューにとって難解な話も多く、一朝一夕で理解できるものではないだろうが、これから時間をかけて理解していけば良いだろう。
リューとしても、まだまだ訊きたい事はたくさん出てくるであろう。ただ現状では消化不良である。またしばらく世界を旅しながら、ゆっくり消化し、また疑問が沸いてきたら不死王の元に戻ってきて話を聞けばよい。リューならば、転移で不死王のもとにはいつでも戻ってこれるのだから……。
もう一つ、別の土産もあった。転移でいつでも直接訪ねられるとは言え、一応念の為、不死王からも連絡用の魔道具を渡されたのだ。
この世界の連絡用の魔道具は、基本的にはふたつ一組となっていて、対となっている魔道具としか連絡がとれない。つまり、大勢の人間と連絡用に魔道具を持つには、その人数分だけ、たくさんの魔道具を持つ必要がある。
既にリューはいくつか連絡用の魔道具を渡されている。
ガリーザ王国女王ソフィ、シンドラル伯爵、バイマークの冒険者ギルドのネリナ、そして今回、ロンダリアのエミリアからも渡された。それに不死王のモノが加わる。
リューには亜空間収納があるのでいくら増えても問題はないのだが、いちいちどれがどれだか覚えておくのも面倒である。
だが、不死王が作ったという通信用の魔道具は優れものであった。一つで複数の通信先を登録しておけるのだ。
これまで貰った通信用の魔道具を登録する事も可能で、それらを子機として人に渡して使えるようになるらしい。つまり、これまで一対であった通信機をバラバラにし、親機と通信可能な別の通信機として登録できるのだ。(子機同士の通信までは残念ながらできるようにはならなかったが。)
ダンジョンから外界に出たリューは、早速、通信機を使ってバイマークの冒険者ギルド(ネリナ)に依頼完了の報告をした。
シンドラル伯爵にはエミリアがお礼を兼ねて伝えておいてくれると言うので、リューから報告をする必要はないだろう。
リューは依頼完了の報告を通信だけで済ませてしまうつもりであったのだが、ネリナに戻って来てちゃんと報告せよと言われてしまった。仕方ない。リューは一旦バイマークに戻る事にした。
一般的に、どこのギルドでも依頼完了時には必ず報告に戻るルールになっているらしい。それは、冒険者が他の街に流れてしまう事を防ぐ意味合いがあるのだ。どこの街も(有力な冒険者であるほど)自分の街に居て欲しいと思うのは当然だろう。
本当は、ギルドマスターであるネリナがひとこと良いと言ってくれれば、通信だけで依頼完了の手続きをさせる事も不可能ではないのだが……(報酬も、ギルドの口座に振り込んで貰えば、別のギルドでもギルドカードで引き出すことも可能なので問題ない)、ネリナとしてもリュージーンに戻ってきてほしいのは同じであったので、そんな特別扱いはする気はないのであった。
* * * *
仕方なく、バイマークに一旦戻る事にしたリュー。転移で帰れば一瞬であるが……時間が掛かるが馬で戻る事にした。それは、道連れができたからである。
なんと、領主の側近であった魔法使いヴェラが、リューと一緒に旅をしたいと言い出したのだ。
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次回予告
ブオン再び?!
乞うご期待!
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