第18話 リュー、元同級生とパーティを組む

ギルドに登録した冒険者にはランク制度がある。ランクは実力や貢献度によって上がっていくが、登録したての初心者はFからスタートとなるのが普通である。

 

だが、リューに与えられたランクはそれより下の「G」であった。

 

Gの下にはさらにHというランクもあるのだが、これは登録した事実だけが必要な者用のペーパー登録であり、一切街から出る依頼は受けられない。

 

Hランクはまれに商売人が持っている事があるが、Gというのは滅多に見る事がない幻の低級ランクである。

 

リューはとりあえず、食っていくために仕事をしなければならない。奴隷から解放される時に貴族から渡されたお金は強盗に襲われ奪われてしまった。

 

当時リューはまだ十二歳であったが、親に売られた身である、親元に帰るわけにもいかない。そもそも無能だから要らないと言われて売られたのである、帰ってもまた売られるだけだろう。

 

リューは一人で仕事をして生きていかなければならないのである。

 

奴隷であれば、とりあえず衣食住は保証されるが、一人で生きていくという事は、それらは自分で用意しなければならないのである。

 

奴隷はある程度、法律で保護されているが、奴隷でなくなった者には、騙したり虐待したりとひどい扱いをしても、咎められる事はないのである。

 

まだ大人とは言えない年齢のリューは、誰かに雇われたとしても、いいように使い捨てされる危険が高かった。

 

奴隷に戻るという道もあった―――実は未成年の孤児にはそれもひとつの現実的な道なのであるが―――リューにはそれは考えられなかった。奴隷になれば、また拷問を受けるかも知れないという恐怖が蘇ってくる。奴隷が法律で保護されているという知識は当時のリューにはなかったのである。

 

そこで、リューは自分の力で生きていける冒険者を選んだのである。

 

だが、親から蔑まれ捨てられたリューは、そうなった理由を自分でも理解していた。自分に何の才能もなかったからである。自分の実力を考えれば、あまり危険な仕事は受けられない。

 

そのためリューは、報酬は安いが比較的安全な薬草採集などの仕事を受けながら、なんとか食いつないでいくようになったのである。

 

いつか、成長してもっと強くなって、難度の高い討伐依頼なども受けられるようになると信じて……

 

しかし、その思いと努力に反して、いつまで経ってもリューのレベルが上がる事はないまま、三年が経過してしまったのだった……

 

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やがて、リューが十五歳になった頃、幼馴染みのマークとケイトほか、かつての同級生達が冒険者としてミムルの街にやってきた。

 

(この世界では十五歳で成人扱いとなる。子供たちは十五歳で学校を卒業すると、すぐに仕事に就いて働き始めるのである。)

 

リューは十一歳までは学校に通っていた。十歳で奴隷になったが、買い取ってくれた商人の厚意で、これまで通り学校にも通わせてもらったのである。(その後、ビッグに買い取られ学校へ行くことはできなくなった。)

 

冒険者になった元同級生達は「夜明けの星」というパーティを結成し、そしてミムルの街の東にあるダンジョンを目当てにやってきたのだった。(リューは、このミムルの街は、リューが生まれ育った街からかなり離れた場所にあると思い込んでいたが、思ったより近かったようである。)

 

マーク達は、ミムルの街で冒険者として働いていたリューを発見、再会を喜び、自分たちのパーティに入るよう誘ってくれたのであった。

 

 

 

一応、冒険者としてはリューのほうが少し先輩となるが、実は元同級生たちは、レベルもリューよりは遥かに上であり、また「剣士」や「戦士」「魔法使い」など、優れたクラスを持っていた。(そのような冒険者向きのクラスを持っていたからこそ冒険者になろうと思ったのであろう。)

 

パーティに参加したものの、すぐにリューとの実力差は目に見えて明らかになってしまう。

 

それまで安全な街の近くの森で薬草摘みしかしていなかったリューである。パーティを組んだことで、仲間と一緒に魔物の討伐などにも出るようになったものの、目立った活躍ができないどころか、足を引っ張ってしまうだけであったのである。

 

初心者向けの比較的弱い魔物であるゴブリンでさえも、一般人以下のレベルしかないリューにとっても、1人では手に余る相手であった。

 

過去にリューも、薬草摘みをしている最中にゴブリンに遭遇した事もあったが、戦う事はせず、命からがら逃げてくるしかできなかったのである。

 

だが、パーティとなれば、優秀な仲間達が魔物をどんどん倒してくれる。

 

だが、リューが戦いに参加すると、ゴブリン相手でも苦戦してしまい、すぐ危険な状態になってしまう。そして仲間達が助けに来なければならなくなるのであった。

 

そうして、リューが役立たずである事はすぐ露呈し、リューは荷物運びとその他の雑用係をするしかなくなったのであった。

 

 

 

 

それでも、幼馴染のマーク達は、リューを虐げる事もなく、リューを庇いながら一緒に活動を続けてくれたのだったが……

 

元々優秀なメンバーである。はやく上のランクに上がりたいし、上がる実力があるはずとギルマスからも言われていた。

 

だが、そのためには、無能なメンバーを切る必要がある。パーティの中に足手まといが居る事で、より難度の高い依頼が受けられないのである。

 

そのうち「夜明けの星」は、リューを抜きで難度の高い討伐依頼や探索依頼を受けるようになり、そしてついに、パーティはリューにクビを宣告する事になったのであった。。。

 

 

― ― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

幼馴染の婚約者に捨てられたリュー

 

乞うご期待!

 

 

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