第12話 さよならしようか
時間がないよ、
そう言ってたのは誰だったっけ。
毎日狂ったように正確に、
時計の針は回り続けて。
ごめんなさい、
謝ってたのは誰だったっけ。
毎日狂いそうなほどに何もない、
平和な日常は通り過ぎて。
私は何をしたいのかなあ。
いつも寸前で逃げ出して、
こうして罪悪感で潰れてるんだ。
私はどこにいるのかなあ。
いつも同じこの場所で、
空虚な気持ちを持て余すんだ。
楽しそうに笑ってみても、
悲しい心は変わらないんだ。
誰が嫌いと怒ってみても、
自分が悪いとわかってるんだ。
このまま終わってくれないかなあ。
きれいな夕日を見たことだけを、
思い出として持っていくから。
放っておいてくれないかなあ。
記憶に残る優しい声を、
宝物としてしまっておくから。
そろそろお別れしないとなあ。
この時間に会えたことだけ、
嬉しかったと泣いてみようか。
さよならしようか、そろそろね。
私は私を追い出した。
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