よるにきえた
素面のままで、酔ったふりをした。
ネオンの下でなら、この暗い気持ちも喧騒に紛れて目立たないだろう。薄暗い路地裏でなら、灰色に溶けて誰にも気付かれないだろう。低俗で珍妙な欲望の街の中を闊歩する、そんな私の姿を見てあなたはどう思うのでしょうね。いいえ、そんなことを考えたって無駄。分かってます。分かってますから。
指が絡み合う。体温が混ざり合い、溶けて、やがて次第に蕩けてゆく。吐息に触れる。真摯で無機質な愛の言葉に、曖昧な頷きで返した。ごつごつした掌が背筋を、首筋を這って、やがて歩みを止めた。目を閉じる。柔らかな感触。私ではない体温が、私へとノックもなしにそっと侵入する。心拍数が上がる。首の後ろへと手を回し、愛のない情欲を、拒むことなく受け入れる。扇動された愛欲はもう止まらない。
理性と未練は、快楽と夜の闇へと溶けて消えていったとさ。
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