須田川亜也 ③
「…それらが原因と言えるのか分からないけれど、わたくしはSNSにのめり込んだの。SNSなら誰かしらには愛される。それが嘘だって構わないわ。…勿論、あなたもね。」
全て語り終わり、佐野くんをちらりと盗み見る。
彼は私の話を聞いて目を潤ませている。
…嗚呼、私の話が彼をそんなに感動させたなんて。
私の判断は間違っていなかったのだわ。
喩え彼の愛が嘘だったとしても構わない。
佐野くんは私の運命の人だと言えるのではないかしら。
だからこそ…。
「この話はこれでお終い。なんだか湿っぽくなってしまったわね。帰りましょう?日が沈んでしまうわ。」
優しく彼の手を取る。
「…あのさ、亜也ちゃん」
「ねえ見て、夕焼けがとっても綺麗。」
「ほんとだ…、空が燃えてるみたい。…さっきの話だけどさ、僕に何でも相談してね。」
自然と笑みが零れ、繋いだ手に力が籠る。
「いっ…、亜也ちゃん痛い。どうしたの急に」
「ふふ、考えておくわ。」
「えっ?」
「何でもないわよ」
私たちははしゃぎながら階段を降りた。
青春が、恋が、誰かと一緒に夕焼けを見ることが、こんなにも楽しいなんて。
今日が人生の頂点ではないかしら。
そんなことを本気で考えた。
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