須田川亜也 ①

私は望まれて生まれてきた子供ではない。

望めば何だって叶う?皮肉な話だ。


私がこの世に生を受けた瞬間父は落胆し、須田川財閥に生まれた長子が女であったことはすぐに全国ニュースで報じられた。

父が落胆した理由はひとつ。

男でないと財閥を継ぐことができないからだ。


そんな私に、お母様は無償の愛を注いでいたそうだ。


私はお母様が写った写真をたった一枚だけ持っている。

誰が撮ったのかもわからないその写真の中のお母様は、生まれたばかりの私を愛おしそうに抱き、その額に口をつけている。

麗しきその姿は、さながら聖母マリアだ。


だが、最愛のお母様はもういない。

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