第20話 魔王、墜つ
それは暗黒騎士と淫魔女王が再開する日から遡る事3年前。
魔界の統一、実力主義の魔族の中において云わば全魔族を屈服させなければ達成出来ぬ偉業にあと一歩まで及んでいた男がいた。
暗黒騎士が唯一対等の友と呼び、その実力を認めていた相手。
総合力では暗黒騎士を上回る力を持った魔族である魔王。
そんな彼の覇道は、その日、終焉を迎えていた。
古参幹部の相次ぐ脱退と新規勢力の加入。
その人事の入れ替わりの中で着々と己の毒を浸み込ませていた者がいた。
その結果、魔王の信頼のおける部下の多くが外征で出払っていた隙に彼の居城は10万を超える軍勢に囲まれる結果となった。
抵抗は無意味と悟って拘束された魔王の目の前に現れたのはたった一人残っていた古参幹部である四天王水の精霊王だった。
「成程な、貴様はそうやって簒奪の機会を窺っていた訳か」
「えぇ、貴方は実に強かったが人脈にだけは恵まれませんでしたね」
「うん、
思わず納得しちゃう魔王。四天王の人選正直間違えたと本気で思う。
「ククク、人界の侵略は貴方に代わって私が成し遂げて見せますよ。貴方は地獄でその様子を眺めていればいい」
「あ、うん。正直、人界侵略とかノリで言っちゃったから頑張って」
「貴方には崇高な使命とかないのですか!? こう、自然を大事にとか!? 必要な資源の確保とか!?」
「維持管理費とか莫大になるからむしろ言ったの後悔してる」
魔王のぶっちゃけトークに精霊王が頭を掻きむしる、こいつら本当に嫌い!
「くっ、まぁいいでしょう、どちらにせよこれで最期です。何か言い遺す事はありますか?」
「そうだな…魔生300年、下天の内にくらぶれば、夢幻のごとくなり」
「貴方魔王だからって私のイメージまで巻き込むの止めろぉ!」
こうして、天下じゃなくて魔界統一寸前まで果たしていた魔王は陰謀の元に露と消え、精霊王が新たな魔王を襲名する事となった。
勇者歴5年:旧魔王、本能的な感じがアレして討たれる。
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