第15話 死霊王、開眼し表舞台から消える
魔王軍が魔界統一もほぼ手前まで来た頃、2名が代替わりして混乱を来していた四天王に更なる事件が起きる事になる。
その切っ掛けはとある魔法研究室で起きた。
死霊王が周囲には秘匿して研究していた技術が遂に完成する時を迎えたのである。
命なき軍団の長である死霊王自らが率先して行ってきたそれは人界侵攻の後に人類に変わる新たな意思なき労働種族として繁殖させるという冒涜的な計画。
というのは建前で、実際の所は、
「ククク、これで夢にまで見たマジカル★デスウィッチの完全再現が叶う」
魔界で一昔前に流行った児童向け文学の推しを受肉させたかった死霊王の完全な私利私欲である。
「後はこの器に魂を込めるだけだが……下手な魂を入れたらマジカル★デスウィッチのガワだけ被った偽者でしかない…どうしたものか…」
そして無駄に凝り性でもあった。
「我輩自らが演技指導をするか? いや、それでは結局一緒ではないか…」
ガラス筒の中で浮かぶ理想の推しの前で煩悶する死霊王。
「いや、待て。魂? 魂…魂…」
その時、悪魔的発想が死霊王の中で閃いてしまった。
そして、
「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」
『ウォーッ! ウィッチちゃーん!』
歓声が響く中で魔界にて突如現れた新人歌姫が魔族達を魅了していく。
歌姫の登場と前後して四天王の一人である死霊王が自らの研究室を完膚なきまでに破壊して、
その研究成果を闇に葬ったまま、完全に魔界の表舞台から消えてしまったのだった。
勇者歴3年:死霊王、消ゆ。
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