第14話 暗黒騎士と弟子入り希望
「俺に剣を教えてくれよ!」
日課の早朝素振りをしていた暗黒騎士に対して、その少年は瞳を輝かせながら頼み込んでくる。
「………」
暗黒騎士はといえばちらりと少年に顔を向けた後にすぐに顔を背けて黙々と素振りを再開する。
「いや、無視すんなよ!」
尚も食い下がる少年にこのままでは普通に邪魔なので仕方なく腕を止め、大剣を地面に突き立てる。
確かこの少年はこの村でそろそろ中年を越えようかというのに未だにお盛んで子沢山な家の小倅だったか。
「お主には立派な家業があろう。何故に我に教えを乞ようとする?」
以前の暗黒騎士ならば漁師と言われてもピンとは来なかったが、3年も経てばその生き様を理解し、馬鹿にしようとすら思わない。
自らとは違う道として尊敬すらしている。
「父ちゃんや兄ちゃん達みたいな事言うんだなアンタも。でも、俺だって自分の事は自分で決めたいんだよ!」
少年の未来を掴み取ろうとするその姿に自分や今は遠く離れた友の昔の姿が思い浮かび、
「そうか、志しは良し」
「…だったら!」
「だが断る」
面倒なものは面倒だ。
そこまでやる気あるなら都会に出て道場にでも通って欲しい。
きちんと断れたので清々しい気持ちで素振りを再開しようとすると、
「じゃあ、この前ここんちの子に素振り覚えさせようとしてたのおばさんにバラすぞ」
少年がジト目でこちらを睨みながら、暗黒騎士の弱点を突いてくる。
この前も未来の勇者とはいえ3歳の幼児に剣を仕込もうとしたのがバレてガチの説教を食らったばかりだ。
「………先ずはお主の今の力量を測る所から始めるか」
「やったぜ!」
こうして、この村に来て初めての弟子を迎える事になった暗黒騎士。
そして、この少年(8歳)こそが後の勇者パーティーの剣士となるのである。
それまで簡単な助言はすれど、頑なに弟子は取らなかった暗黒騎士が何故この少年を弟子にしたのかは歴史の闇に包まれている。
勇者歴3年:後の剣士が暗黒騎士の弟子となる。
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