第13話 暗黒騎士、暗黒の館
「へへっ、お頭。この辺に例の娘らが逃げたらしいですよ」
夜道を足音を忍ばせて歩く不審な集団。
彼らは元々は国の騎士団に所属していたが、貧困から抜け出して野盗にまで落ちぶれた所謂騎士崩れである。
しかし、そういった過去の経歴から後ろ暗い事がある貴族の子飼いとして端金で依頼を引き受ける事もあった。
今回は先だって嵌めたとある伯爵家の生き残りの始末を依頼されていた。
「ハッ、こんな端まで逃げるとはな。貴族様もよっぽど生き汚い事だ」
お頭と呼ばれた頬に傷のある如何にもそれらしい男が鼻で笑い、周囲も賛同するように笑う。
「この先にこの辺唯一の村があるらしい、いるとすりゃそこしかねぇ。ついでに仕事も済ましちまおう!」
野盗供はお頭の言葉に舌なめずりし、この先での収穫に胸を高鳴らせる。
その矢先、道の途中に建てられていた漁獲物の保存用と思われる小屋の扉がおもむろに開き、
想像だにしていなかったモノが、哀れな野盗供の前に現れた。
やぁ、ようこそ(将来の)勇者の村へ。
この暗黒剣はサービスだから、まずは食らって死んでほしい。
うん、「絶対に勝てない」んだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この戦力差を見たとき、君は、
きっと言葉では言い表せない 「絶望」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中でそういう気持ちを忘れないで欲しい、
そう思ってこの攻撃をしかけたんだ。
______________じゃあ、死のうか。
「あら、騎士様。随分と遅いお帰りで」
「何、矢張り害獣が湧いていたので追い払って来たのだ」
日も落ちた頃におもむろに「干物を見てくる」と外に出て行った暗黒騎士は何事もなかったかのように大剣をしまうのであった。
勇者歴3年(秋):暗黒騎士、人知れず村の脅威を排除する。
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