第10話 魔王軍の四天王(2名離脱)
暗黒騎士の謎の失踪から2年。
魔界内の至る所を捜索したが消息は一切掴む事が出来ず、やがては死亡説や裏切り説が魔王軍内でまことしやかに噂され始めた。
肝心の魔王といえば「心配は無用」の一言だけであまり本腰を入れるつもりはなさそうだった。
実際の所は、探すだけ無駄だろうなという諦めの境地だったのだが。
そんな状況にて魔王と暗黒騎士を除く最高幹部4名が集っていた。
魔王、暗黒騎士に次ぐ武闘派の火の竜王。
権謀術数に長けた水の精霊王。
放蕩にして妖艶なる風の淫魔女王。
不死の大軍を従える土の死霊王。
地水火風を統べる4人の王達である。
「早速であるが、俺は抜けるぞ」
いきなりぶちかましてくる竜王。
「いやいやいや、早くない? ちょっとは考える頭もったら?」
議題を伝える前にいきなりぶち込んでくる竜王に呆れ顔の精霊王。
「そもそも、俺はあやつとの再戦の約束に従って身を置いていただけ、あ奴がいないならば俺もいる意味なぞないわ!」
そうなのである、竜王は暗黒騎士とどっちの方が腕が上かで切磋琢磨してきた仲なので、失踪によりその対象がいなくなり完全にやる気を失っていたのである。
「あ、それアタシも思ってたんだよね、脱退。後任にハーピィへ一応声かけといたから」
「君もかよ!?」
自分の爪を眺めながらあっけらかんとした様子で告げる淫魔女王に精霊王は思わず声を上げてしまう。
「そっ、アタシはダーリン目当てでここにいたから、居ないなら、ねぇ?」
ダーリンと呼ばれているのは暗黒騎士の事だが、完全な一方通行である。
淫魔女王としては自分の誘惑に靡かない暗黒騎士を堕とすのが目標だったが、暗黒騎士にしてみれば闇耐性極めて状態異常ほぼ効かない上に本人は「化粧が派手」という理由で敬遠してたので脈はない。
暗黒騎士の好みは田舎にいそうな牧歌的な女性だという事を知らない故の悲劇(?)である。
「うむ、俺も後任には火蜥蜴の奴を呼んでいる」
「なんでわざわざ精霊種呼ぶの!? 僕への当てつけ!?」
精霊王が身勝手な二人の言動に頭をかきむしる。
「君も何か言ってくれよ、死霊王!」
そうして振り返った席には
『オナカイタイノデカエリマス』と書置きだけが残されていた。
「お前、腹ないだろうが!!」
会議室に精霊王の絶叫だけが響き渡った。
四天王2名の離脱により、後任の就任までの間、またもや統一が遅れたのは言うまでもない。
勇者歴2年:魔王軍動乱する。
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