第9話 暗黒騎士、思い出す
暗黒騎士が村を訪れてからそろそろ2年が経過しようとしていたある日。
この頃になってようやく暗黒騎士は魔王軍の事を思い出していた。
「ふむ、まぁ文は残しておいたし、彼奴は我と違って聡明故問題はなかろう」
あの謎のメッセージだけで何かが伝わるとは思えないが、当人は本気で伝わっていると思っているので大概である。
魔王の事を全面的に信頼している故の暴挙だが、相手はそれで胃に穴が開いている。
しかも、時間の概念が薄いのであまり大した問題だとも思っていない。
以前も3年くらい一人で武者修行したりしてたので、当人はその程度のノリなのだが、それは今の役職に就く前であるという前提が抜けている。
というか自分が将軍職なのを言われても、そもそも理解してないのであるが。
「そういえば、あ奴らは息災であろうか?」
魔王軍で彼らに着いてきてくれた猛者達、その中でも各軍を束ねる4人の将達。
四天王と呼ばれる彼らは魔王や暗黒騎士がそれぞれ招集した面子であるが、一癖も二癖もあるような者達であり、他の魔族では統率を取る事すら難しいであろう。
「きぃき!」
物思いに浸っていた暗黒騎士の脛をぺちぺちと叩く赤子。
「ムッ、また抜け出したか」
最近は活発に動き回るようになり、柵を乗り越えて抜け出す事まである。
「無謀なる者には相応の罰を与えねばなるまいな、それ天へと捧げてやろう」
「きゃっきゃ!」
赤子の両脇を抱え上げると頭上へと何度も繰り返し持ち上げる。
要はただのたかいたかいである。
勇者歴2年(春):暗黒騎士、かつての地の事を思う(すぐに忘れる)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます