第28話【LWH、LWF】を褒める

LWH、LWF

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922606129


 これすごい、三話で分からせる説得力。


 普通、唐突な設定がお出しされたらそれに引っ張られてしまうのが人というものなんですけど、これは違った、世界も書くものも絞ってあって言葉のインパクトの瞬間までノイズがあってもやり通す語気と、ストレートにノイズなく鮮明に聞こえてもまだ揺れてる感じ。

 SFを分からせる時、このSFを広めるためにギミックをしっかり何度も言い含めよう! としてしまう人は多いんですけど、そうなんですよね、効果がその場で現れるものなら、わざわざ世界観を説明しなくてもその効果だけを突破口にしてお話を仕立ててしまって構わない。

 そして思う所としては読者の認識を視点変更でぐるっと変えてしまう、大事なところを繰り返しながらも全く違った印象、読後感にする。

 タイトルと話の展開が決め技になって一本で決めてしまう、強力な作品です。


 ちょっと過去に触れた作品の話になりますが、同じ話の流れ、セリフ自体は一致しているけど地の文をそれぞれ違う主人公、僕が読んだ作品の場合は二人のカップルが織りなす長編ファンタジーだったんですが、長編を二作並行しながら執筆それも、地の文を男女それぞれの人称視点で描きながら、二人が離れてる時はそれぞれ違った行動をしているものの、二人でいる時は同じ文言でも違うことを感じてるという、そういった作品をまじまじ読んでいたことがあって、その時、ああ、これはなかなか物理書籍では味わえないし、異なる視点で同軸の世界が描かれることで世界により深く没入出来て美味しいぞ! って喜んだんです。


 で、今回のLWH、LWFは僕が過去に触れた作品とも異なる力がある。

二つの違う効果に晒されてる二人がいる時、読者もまた確実に試されてる、こういう発想の新鮮さを受け取る時、ビビっときます。


 これは僕には書けないなあ、SF作家の人達にもこういうライトな書き口で物事を分からせる技があるのだと、読んでみてもらいたいところでした。


(この文章量で星新一より巧みっていったいなんなんだ、一体僕は何を見せられてるんだ?)

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