第10話【鹿翁館の秘密】を褒める

鹿翁館の秘密

https://kakuyomu.jp/works/1177354054919000558


 いかにも何か起こりそうな館、名の通り飾られてる沢山の鹿、不穏の影がつきまとって離れなくても、好奇心には勝てないのが人の心というもの。

 読み進めるにつれて異常をすこしずつ把握していく感じ、何が起きるのかと待ち受けている未来に淡々と描かれる言葉が紡がれていく。


 ミステリーって書けないしあまり読んだ経験もないもので、落ち着いた調子で進む文体を目にして、急に飛躍せずにひとつずつゆっくりと話を組み立てていく流れが、長い時間をかけて鹿翁館と呼ばれるまで、秘密が出来上がるまでの歳月を想像させられ、こういう経験もあるのかとハッとした次第です。


 読みやすい長さでまとまりもよい、鹿のはく製が最後まで気持ちの中に残る、鹿翁館の秘密を知ってもなお、謎は深まる、読んで感じる自分までもが鹿のはく製となってこの館の行く末ととも過ごしていたくなる。


 翁が”それ”をうしなうまで。

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