『リベンジャー』
MELL
第1話 「地球降下」
○ 地球・荒野・2100年から2150年頃
サイボーグ(上から下まで真っ黒の塗装
で、見た目は人とほぼ変わらない)が、
ピューマ型やサソリ型のロボットと戦っ
ている。
それを背景に映しながら、
T「西暦2100~2150」
N「それは突然のことだった。人類のよき伴
侶であったロボットが人類に反抗したのは。
人類とロボットの長きに渡る戦いは、50年
も続いた。後に50年戦争と呼ばれるこの戦
いの勝利者は、ロボットたちであった。ロ
ボットたちは地球を掌握し、人類は逃げる
形で月に生活拠点を移すことになった。以
後、人類はロボットたちから地球を奪還す
べく、地球奪還軍隊、通称ERA(イーアー
ルエー)を設立し、何百回も地球にサイボ
ーグたちを派遣することになる。しかし、
50年戦争が終結してから100年をたった今
でも、いまだ人類は地球を奪還することは
できていない……」
○ 月・パーシヴァル家のリビング・10年前
(2240年)
T「2240年」
非常用電灯や、壁にさまざまな色が発光
するロープライトが飾られている。
そのため真っ暗ではないが、相当暗い。
ロウソクに火がついた誕生日ケーキが床
に落ちている。クリームなどが飛び散っ
ている。
リーザ「……」
ゆっくりとまぶたを開けるリーザ(5)。
目の前に何か物体があるが、視界が白く
ぼやけていてよく分からない。
白くぼやけている視界、ゆっくりと鮮明
になっていく。
目の前には母親の体。リーザを見ていて、
穏やかな笑顔をしている。息はしておら
ず、口元に血がついている。
リーザ、何が起こったか分からない様子。
視線を下に向ける。母親の腹部から致死
量の血が流れている。まだ固まっていな
い。
リーザ「……いや……」
と、母親の死体の肩上から真正面を見る。
廊下に続くドアの前。そこにはあおむけ
に倒れている父親の死体。
リーザ、目を見開き、
リーザ「いや、いや、いや……。いやぁぁぁ
ぁぁ!!」
(ブラックアウト)
○ 大型戦艦アスモデウス・リーザの部屋
T「2250年」
ゆっくりとまぶたを開けるリーザ(見た
目は15歳)。人形のように整った顔立ち。
碧眼。金髪ショートカット。
ベッドから起き上がりながら、
リーザM「またあの時の……」
と、首を振り、辺りを見回す。
壁、床、天井の色は白。
壁にはアナログ時計がかけてある。
左手に簡易な机と椅子。机上には数冊の
本が立てかけてある。
正面には網膜認証式のドア。
それ以外には何もない。
リーザ「……目が覚めた」
と、ベッドから立ち上がる。
○ 同・食堂
かなり広めな食堂。長テーブルと椅子が
並んでいる。
ひとつの長テーブルの前に、椅子に座り、
トマトたっぷりのパスタを食べているカ
ミラ(見た目は18歳)。
髪型はポニーテールで赤毛。
リーザ「よくそんなの食べれるね」
カミラ、食べる手を止め、横を見る。
リーザが立っている。
カミラ「トマトは体にいいのよ」
リーザ「(真顔で)それは食べ物じゃない」
カミラ「あんたねぇ……。だいたいリーザは
食べ物の好き嫌いが激しすぎるのよ」
リーザ「別に私たちは食べなくても問題ない
し」
カミラ「それはそうだけど……。脳と舌は自
分の物なんだしさ。ある程度は楽しまない
と」
リーザ「でも……」
カミラ「噛むことは脳の刺激にもいいらしい
わよ」
リーザ「それはそうかもしれないけど……」
カミラ、キッチンのほうを指さし、
カミラ「なら何か食べること」
リーザ、渋々うなずき、キッチンに向か
う。
× × ×
リーザ、喜々とした様子で戻ってくる。
トレーには湯気が立つラーメン。
カミラの向かい側の席に座る。
○ 大型戦艦アスモデウス・リーザの部屋
T「2250年」
ゆっくりとまぶたを開けるリーザ(
見た目は15歳)。人形のように整っ
た顔立ち。碧眼。金髪ショートカッ
ト。
ベッドから起き上がりながら、
リーザM「またあの時の……」
と、首を振り、辺りを見回す。
壁、床、天井の色は白。
壁にはアナログ時計がかけてある。
左手に簡易な机と椅子。机上には数
冊の本が立てかけてある。
正面には網膜認証式のドア。
それ以外には何もない。
リーザ「……目が覚めた」
と、ベッドから立ち上がる。
○ 同・食堂
かなり広めな食堂。長テーブルと椅子が
並んでいる。
ひとつの長テーブルの前に、椅子に座り、
トマトたっぷりのパスタを食べているカ
ミラ(見た目は18歳)。
髪型はポニーテールで赤毛。
リーザ「よくそんなの食べれるね」
カミラ、食べる手を止め、横を見る。
リーザが立っている。
カミラ「トマトは体にいいのよ」
リーザ「(真顔で)それは食べ物じゃない」
カミラ「あんたねぇ……。だいたいリーザは
食べ物の好き嫌いが激しすぎるのよ」
リーザ「別に私たちは食べなくても問題ない
し」
カミラ「それはそうだけど……。脳と舌は自
分の物なんだしさ。ある程度は楽しまない
と」
リーザ「でも……」
カミラ「噛むことは脳の刺激にもいいらしい
わよ」
リーザ「それはそうかもしれないけど……」
カミラ、キッチンのほうを指さし、
カミラ「なら何か食べること」
リーザ、渋々うなずき、キッチンに向か
う。
× × ×
リーザ、喜々とした様子で戻ってくる。
トレーには湯気が立つラーメン。
カミラの向かい側の席に座る。
カミラの皿は空っぽ。
カミラ「(あきれ顔で)はぁ……。またラー
メン?」
リーザ「何が悪い」
カミラ「いつもいつもラーメンじゃない。ラ
ーメンを食べるか、何も食べないかの二択
じゃない」
リーザ「好きなものだから仕方ない。それに
何を食べても、私の勝手でしょ」
カミラ、ため息をつく。
カミラ「少しは栄養ってものを考えなさいよ」
リーザ、ムッとした表情になる。
リーザ「カミラ、母親みたいなことを言う」
カミラ「まあ、姉みたいな気持ちではあるわ
ね」
リーザ、カミラの発言を無視して、ラー
メンをすすり始める。にっこりとした笑
みがこぼれる。
カミラ「(ため息)はぁ」
と、頬づえをつきながら、ラーメンをす
するリーザを見る。
ビービーという警音が食堂内に響く。
カミラ、少し驚き、頬づえをやめる。
艦内アナウンス「第157期団のメンバーは、
大ホールに至急集合してください。繰り返
します。第157期団のメンバーは――」
カミラ、リーザを見て、
カミラ「ほら、招集よ」
リーザ「ん……。もう食べた」
と、空のラーメン鉢をカミラに見せる。
カミラ「早いことで」
リーザ「ラーメンは万能食」
カミラ「じゃあ、行くわよ」
リーザ「了解」
食堂を早足で出て行く二人。
○ 同・大ホール
リーザとカミラ、自動ドアを抜けて入っ
て来る。
周りには大勢のサイボーグたち。男女の
割合は同じぐらい。それぞれ隣のサイボ
ーグや、グループ同士で話し合っている。
カミラ「(キョロキョロと見回しながら)間
に合ったみたいね」
リーザ「そうだね」
○ 同・大ホール・壇上
エーデル(見た目は28歳)、舞台袖から
出て来る。髪型は長いポニーテール。髪
色は黒。日本刀を帯刀。
○ 同・大ホール
エーデルを見たサイボーグたち、一斉に
話すのをやめ、姿勢を正す。
カミラ「ほら、私たちも」
リーザ「うん」
と、姿勢を正す二人。
○ 同・大ホール・壇上
演台に立つエーデル。
ホールにいる約50人ぐらいのサイボーグ
やリーザたちを一通り見下ろし、
エーデル「第157期団の皆。ここに集まって
もらったのは他でもない。明日、地球に降
り立ってもらう」
○ 同・大ホール
ざわめくホール。
カミラ「いよいよね……」
リーザ「うん……」
リーザM「この時を待ってた」
○ 同・大ホール・壇上
エーデル「作戦開始時間は明日24日の13時。
地球に降下する時は、シェルターを使用す
る。降りた後は、各自の判断でロボットを
破壊。こちらから命令は極力しない」
ざわめくサイボーグたち。
エーデル「安心しろ。一人一人にオペレータ
ーはつける。ただ基本的には個々人の判断
に任せる」
と、ひとつせき払いをし、
エーデル「今回の作戦はお前たちの査定も兼
ねている」
と、右手を前に出し、
エーデル「各自全力を尽くすように!」
と、右手を体の横に戻し、
エーデル「以上だ。健闘を祈る」
と、演台から去って行くエーデル。
サイボーグたち「礼!」
と、一礼をする。
リーザとカミラ、何も言わず一礼。
顔を上げるリーザ。やる気に満ちた表情。
○ 同・ブリッジ
エーデル「ただ今から第538回地球奪還作戦
を始める。各自、持ち場につけ」
オペレーターたち「はい!」
と、自分の持ち場である端末の前に座る。
九条吉乃(20)もそれに続く。
○ 同・格納庫
多数の長円型シェルターが並んでいる。
サイボーグたち、その前に並んでいる。
そのうち、ふたつの前に隣同士で並んで
いるリーザとカミラ。緊張した表情。
リーザ、鞘を背負っている。
カミラ「大丈夫? 怖くない?」
リーザ、ムッとした表情になり、
リーザ「子供扱いしないで」
カミラ「はいはい」
ザザザと放送音のノイズ。
エーデルの声「各自シェルターの中に」
リーザ・カミラ・サイボーグたち、シェ
ルターの中に入っていく。
○ シェルター内部
リーザ、座席につく。目の前には小さな
モニター。
エーデルの声「操作はこちら側でする。おの
おの衝撃に備えろ」
エーデルの声は、耳の近くに埋め込まれ
ている目に見えないほどの小さなスピー
カーから聞こえる。
リーザ、表情を引き締める。
シェルターが震えだし、ガコンと音を立
てる。
重力の衝撃に耐えるリーザ。
○ 宇宙
全長300メートルの戦艦アスモデウス
から、地球方面に向けて発射される複数
のシェルター。
そのうちのひとつが大気圏に突入し、熱
で赤くなる。
○ シェルター内部
リーザ「くっ……」
と、衝撃に耐えている。
○ 地球・空
青空の中、シェルターが落ちていく。
○ 同・高原
けたたましい音を立てて、シェルターが
地面に着地。
衝撃により、着地点の地面がえぐれる。
音が静まり、数秒後にシェルターから出
てくるリーザ。
リーザ「(ため息をつきながら)無理やりす
ぎない……」
と、ふと横を見る。かなり遠くに富士山
が見える。
リーザ「あれは……」
吉乃の声「あれは富士山。ええと、マウント
・フジですね」
リーザ、耳のそばからいきなり聞こえた
声に驚く。
リーザ「オペレーター……」
吉乃の声「(少し慌て)いきなり失礼しまし
た! リーザさんのオペレーターを担当さ
せて頂く九条吉乃です。よろしくお願いし
ます!」
リーザ「そんな堅苦しくしなくてもいい」
吉乃の声「いえ! これは性分ですので。そ
れに……」
少しの沈黙。
リーザ「なに?」
吉乃の声「いえ、何でもありません……」
リーザ、富士山を見ながら、
リーザ「あれが山……。初めて見た」
吉乃の声「マウント・フジが見えるというこ
とは、ここは日本、ジャパンですね」
リーザ「吉乃はジャパニーズ?」
吉乃の声「ええ、ルーツはそうだと思います。
ただもう何百年も前のことですし、詳細は
分かりませんけど。でも、よく分かりまし
たね?」
リーザ「名前の付け方がそうだから。資料で
読んだことある」
吉乃の声「なるほど。博識なんですね」
リーザ「いや、そうでもないけど。ただ単に
覚えていただけ。で、私はどうすればいい
の?」
吉乃の声「ああ、失礼しました。指令はひと
つだけ。ロボットを適当に倒して下さい。
ノルマなどもありません」
リーザ「分かった」
吉乃の声「その周辺にはロボットの反応はあ
りませんので、とりあえずは移動をお勧め
します」
リーザ「うん」
と、歩いて行く。
○ 同・桜並木
ソメイヨシノがたくさん咲いている並木
道を歩いているリーザ。
リーザ「(ソメイヨシノを見上げながら)こ
の花は? 本とかでも見たことない」
吉乃の声「ええとですね。その辺りに咲いて
いる花は……」
ピピピというキータッチ音。
吉乃の声「あっ、はい、分かりました。ソメ
イヨシノ。サクラの一種ですね」
リーザ「サクラ……ソメイヨシノ……。ヨシ
ノ?」
と、ハッとした表情になり、
リーザ「もしかして、吉乃の名前はここから
きたの?」
吉乃の声「さあ、どうでしょうか。両親に聞
いたことはありませんが……」
リーザ「お父さん、お母さんは元気?」
吉乃の声「元気も元気ですよ」
リーザ「そう……よかったね」
吉乃の声「リーザさん?」
リーザ、一本のソメイヨシノの下で立ち
止まり、そっと幹に手を触れ、
ソメイヨシノを見上げる。
少し遠くを見るような、悲しそうな表情。
風が吹き、ソメイヨシノの花びらが舞う。
静かな時間が流れる。
吉乃の声「あっ! リーザさん!」
リーザ、少し驚き、
リーザ「なに?」
吉乃の声「少し南の方向、ロボットの反応が
複数あります! 仲間が戦闘中の模様!
座標を送ります!」
リーザの網膜部分からホログラムディス
プレイが映し出される。ディスプレイに
は赤い点が複数と、青色の点がひとつ。
リーザ、それを見ながら、
リーザ「(走りながら)闘っているのは誰!?」
吉乃の声「今、調べてます!」
かなり早いピピピというキータッチ音。
吉乃の声「出ました! 識別番号15711、カ
ミラ・ウォーカーさんです!」
リーザ、必死な表情になり、さっきより
も速く走る。
散って、地面に落ちていたソメイヨシノ
の花びらが舞う。
○ 同・草原
両手にダガーを握っているカミラ。
そばにはシェルター。目の前には約30機
ほどのピューマ型ロボット。
カミラの周り、さまざまな場所に10機ほ
どのピューマ型の残骸。
きれいなまま横たわっているものも。
カミラ、ピューマ型を見回し、
カミラ「はぁ……。私もついてないわね……」
と、ダガーを構え直す。
カミラ「嘆いても仕方ないか」
と、一機のロボットに狙いをつけ、前傾
姿勢で突進。
横たわっているピューマ型につまずき、
一瞬よろめく。
カミラ「しまっ――」
と、焦る表情になる。
一斉にカミラに襲いかかる5機のピュー
マ型。
目をつぶるカミラ。
リーザの声「まだまだだね」
カミラ「えっ!?」
ブンッと大きなものを振り回す音。
転んだカミラの目の前には、大剣を振り
回し終えたリーザが立っている。
バラバラとパーツが落ちて、壊れていく
5機のピューマ型。
リーザ「自分で倒したロボットにつまずくな
んて」
カミラ、ダガーを持ったまま、体につい
た土を払いながら立ち上がる。
カミラ「たまたまよ。たまたま」
リーザ「そういうことにしとく」
と、自分の背丈の半分ぐらいはある大剣
を両手で構える。
カミラ、リーザと背中合せになり、ダガ
ーを構え直す。
カミラ「一応、礼は言っておくわ」
リーザ「どういたしまして」
複数のピューマ型、リーザとカミラの周
りに集まり、ジリジリと間合いを計って
いる。
リーザとカミラ、同時に、
リーザ「そっちは任せた」
カミラ「そっちは任せたわよ」
リーザとカミラ、同時にピューマ型に向
かって走る。カミラは前傾姿勢。
リーザ、一機のピューマ型に狙いをつけ、
走りながら大剣を高い位置から振り下ろ
す。
ギリギリで後ろに飛び、それをかわすピ
ューマ型。
地面に刺さる大剣。
リーザ「あまいね」
と、反動を利用し、一回転する。そして
大剣をそのピューマ型に投げる。
大破するピューマ型。
リーザ、着地。
その隙を狙い、飛びかかる一機のピュー
マ型。
リーザ、そのピューマ型の口、右手を上
顎、左手を下顎に突っ込む。
牙は生えているが、それを物ともせず。
リーザ「剣だけが武器じゃない」
と、そのまま上下にピューマ型を引き裂
く。
上下が真っ二つになるピューマ型。オイ
ルが飛び散り、オイルをかぶるリーザ。
リーザ、上下に分かれたピューマ型を投
げ捨てる。
ニヤッと笑っている。邪悪な笑み。
リーザから距離を取る約5機のピューマ
型。
カミラ、左手に持っていたダガーを一機
のピューマ型の額部分に投げる。
そのピューマ型の頭部がショートする。
カミラ、そのピューマ型にジャンプで近
づき、右手に持ったダガーで体部分の中
心をひと突き。
ピューマ型、動物のような悲鳴をあげ、
その場に倒れ、動かなくなる。
2機のピューマ型、カミラの左右から飛
びかかる。
カミラ、手を交差に重ね、懐から二本の
ダガーを取り出し、そのままピューマ型
の下腹部中心に投げる。
悲鳴をあげ、動かなくなる二機のピュー
マ型。
ピューマ型、カミラを警戒し、距離を取
る。
カミラ、手を交差に重ね、懐から二本の
ダガーを取り出し、構える。
遠くに倒れたピューマ型を一瞥し、
カミラ「(微笑しながら)わたしだって強い
のは知ってたでしょ」
約5機のピューマ型、お互いを見て、う
なずく。
カミラに背を向け、逃げていくピューマ
型。
カミラ「あっ、逃がさないわよ!」
と、ピューマ型を追う。
カミラ、地面に刺さった大剣を片手で引
き抜こうとしているリーザをチラッと見
て、
カミラ「あとは頼んだわよー!」
リーザ、大剣を引き抜き、構えながら、
リーザ「あとでそっちに行くー!」
カミラ「どっちが早いか勝負よー!」
と、さらにピューマ型を追っていく。リ
ーザの視界から見えなくなるカミラ。
リーザ、目の前にいるピューマ型をにら
み、
リーザ「私が勝つに決まってる」
○ 同・荒野
カミラ、ピューマ型を追っている。数は
約5機。
カミラ「待ちなさい! って言って、待つわ
けないわよね……」
ピューマ型、カミラの数メートル先で一
斉に止まる。
カミラ「通じた!?」
と、つられて止まる。
ピューマ型、遠吠え。
背後から同型のピューマ型が大量に出て
くる。
カミラ、焦りの表情。
ピューマ型、一箇所に集まり、積み重な
っていく。
ガシャガシャという機械音。
カミラ「(驚いた表情になり)うそ……でし
ょ……」
(フェードアウト)
○ 同・草原
リーザ、向かってくる最後のピューマ型
を切る。大剣を片手で振って、刃につい
たオイルを落とす。大剣を鞘に収める
(この時、大剣がガシャガシャと音を立
て、折りたたまれ、通常サイズの剣にな
る)。
リーザ「私の勝ちかな」
と、カミラが駆けていった方向に走る。
○ 同・荒野
走っているリーザ。
リーザ「カミラ!」
前方にカミラが見える。カミラの向こう
側には龍型ロボット。
カミラ「(リーザのほうを振り返りながら)
リーザ!」
龍型、カミラに突進。
リーザ「危ない!」
カミラ、龍型のほうに振り返り、すんで
の所で突進をジャンプでよけ、そのまま
リーザの隣へ着地。
リーザ「これはどういうことなの!」
カミラ「さっきのロボットたちが合体してこ
うなったのよ! 信じられないかもしれな
いけど……」
リーザ「(驚いた表情で)資料とかでも読ん
だことないんだけど……」
カミラ「私もよ」
リーザとカミラ、体勢を立て直した龍型
を見る。
カミラ「しゃべっている暇はなさそうね」
リーザ「だね」
カミラ「来る!」
龍型、リーザたちめがけて突進。
リーザとカミラ、難なくジャンプしてよ
ける。
地面に激突する龍型。
リーザ「攻撃方法はあれだけ?」
カミラ「どうでしょうね……」
着地するリーザとカミラ。
龍型、体勢を立て直し、リーザたちに突
進。
リーザ「バカの一つ覚えみたい」
カミラ「……」
リーザ、ジャンプして突進をよけようと
する。
カミラ、異変に気付き。
龍型、尾をリーザに向けて払う。
リーザ「えっ」
カミラ「危ない!」
カミラ、尾とリーザの間に割って入る。
リーザを突き飛ばす。
突き飛ばされるリーザ。目の前にはカミ
ラが見える。
尾に当たり、飛ばされるカミラ。
リーザ「カミラ!!」
と、着地する。
前方には地面にうつぶせのカミラ。
リーザ「カミラ……」
龍型、倒れているカミラに向かって突進
し始める。
リーザ、突進中の龍型を睨みながら、
リーザ「私はあの日……誓ったんだ……」
× × ×
冒頭のリーザの回想がフラッシュバック。
× × ×
リーザ「もう誰も殺させない! お前たちを、
ロボットを全て殺してやる――って!」
龍型、咆哮しながら、倒れているカミラ
に突進中。
リーザ、右手で鞘から剣を引き抜き、
リーザ「コードB――解除!」
と、剣を口にくわえる。剣が大剣に変形
し、リーザの体がチーターのように変形
していく。
その間にも、カミラに向かう龍型。
リーザ、チーターのような姿に。尻尾の
ようなものも生えている。
龍型、カミラを食べようと口を開ける。
鋭利な牙が何本も生えている。
カミラにかみつく、その瞬間。
リーザ、体ごと口の中に突っ込む。
火花をあげるリーザの体とロボットの牙。
龍型、力でリーザを押していく。リーザ、
後ろ足が地面につく。
リーザ「くっ……」
なおもかみつきながら、リーザを押して
いく龍型。
リーザ「まだまだ!!」
後ろ足裏についている小石や、その先の
小石がコロコロと転がる。それが大きな
ものになって。
リーザ「これで終わりだぁぁぁ!!」
衝撃音。後ろ足裏から噴射。
リーザ、龍型の口から尾に向かって、大
剣でぶった切っていく!
上下真っ二つになる龍型。バラバラと部
品が落ちていく。
獣型のリーザ、着地とほぼ同時に人型に
戻る。
大剣についたオイルを片手で払って落と
し、背中の鞘に収める(大剣は小さな剣
に変形)。
リーザ「カミラ!」
と、カミラの元に走って行く。
リーザ「(カミラを揺さぶりながら)カミラ
! カミラ!」
カミラ「うっ、うーん……」
リーザ「(安堵の表情を浮かべながら)よか
った……」
カミラ、目の前のリーザに気づく。何が
起こったのか分からない様子。
リーザ、カミラを抱く。
カミラ「……リーザ?」
リーザ「本当によかった……」
○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ
エーデル、リーザがカミラを抱いている
様子を映している大画面のホログラムデ
ィスプレイを見ている。
エーデルの背後にある自動ドアから入っ
てくるアニード(見た目は78歳)。宙に
浮いた椅子のようなものに座っている。
アニード「どうじゃった? あの娘の成果は」
エーデル「期待半分、不安半分といったとこ
ろか」
アニード「ほほう」
エーデル「まあ、まだ未知数な部分が多いが」
アニード「そりゃそうじゃろう。なんせ初め
ての試みなんじゃからな」
エーデル「……」
ピピピと発信音がなる。エーデル、スマ
ホ型の端末を上着のポケットから取り出
す。
画面を見て、一瞬嫌な顔をする。端末を
耳に当てる。
エーデル「はい……はい。了解しました。今、
行きます」
と、端末をきる。
アニード「元老院か?」
エーデル、めんどくさそうな表情。
エーデル「ああ。リーザの戦闘結果を知りた
いそうだ」
と、踵を返し、
エーデル「(ため息をつきながら)行ってく
る。あとは任せた」
アニード、扉から出て行くエーデルを見
ながら、
アニード「親には逆らえんか……」
と、画面に映るリーザたちを見る。
リーザとカミラ、お互い笑顔で話してい
る。
アニード「さて、どうなりますかな」
○ 同・元老院の間
真っ暗闇。
見上げているエーデル。スポットライト
を浴びている。
エーデルの視線の先。黒い人型のシルエ
ットが、扇状に6人。
元老院議員1の声「さあ、話を聞こうか」
(第1話 終)
『リベンジャー』 MELL @fatefulgo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『リベンジャー』の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます