第25話・始動2
翌朝、灯夜が学校に着くと生徒の数がいつもより少なかった。
周りの生徒からの話を聞くと、電車がストップしており、道路がいつもよりも渋滞しているようだ。
灯夜も朝食中に点けていたテレビニュースでその事は知っている。
昨夜、終点で待機していた作業員が停止したと連絡のあった電車の元へ行くと、最後尾に黒い液体のようなものが付着しており、夜の景色に溶け込んでいた。それを見た作業員は警察に電話、その後電車内にいた車掌は黒い意識不明のまま、液体を被った状態で発見され、病院に搬送された。
その後の事はニュースでは話されておらず、犯行のわからない珍事件として扱われていた。
「灯夜くん!今日のニュースは見た!?」
灯夜が席に着くやいなや加代がバンバンと灯夜の机を叩きながら言った。
「何のニュース?」
「決まってるじゃない!列車黒塗り事件よ!あれは絶対、幽霊か妖怪の仕業よ!」
「そうなんですか?」
「絶対そうよ!うぅ~、興奮してきた~!」
そう加代は大声を上げながらはしゃいでいた。
周りの生徒はその事に気にしていない様子よりも、いつもの事のような感じで無視していた。
その後、少しの遅刻者が出ただけでいつも通り授業が進んだ。
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