第7話・メモリーロスト7

「じゃあまずこれが見える?」

 真保はそう言って足下にいたクロすけを持ち上げ明花に見せた。

「黒猫?」

「そう、そしてこいつが幽霊」

「はあ!?」

 明花は猫にしか見えない幽霊を見て驚いた。

「まあ、こいつは幽霊の中でもおとなしくて見た目も気持ち悪くない方」

「「えっそうなの?」」

 明花と俺の声は兄妹さながらに揃っていた。

「幽霊は強い未練などがあるほど姿は元の姿とは全く違う形になり周りの被害も桁違いになる」

 真保そうは言いながら白いチョークで掃除の子が一生懸命にやったであろう綺麗な黒板に分かりやすい絵を描き始めた。

「そして長時間たっても成仏出来ない幽霊はやがて憎しみや怒りなどに体を取られ悪霊になる」

「ふんふん……ねえお兄ちゃん、この猫の名前なに?」

「クロすけだって」

 明花は聞いているのかわからない返事をしながらクロすけを撫でていた。

「……そしてその悪霊を成仏させるのが私達徐霊師なの」

「私達?真保の一人じゃないのか?」

「私以外にも徐霊師はいる。けど年々数が減っていてスカウトをしているって感じ」

「そんなに減っているのか?」

「前まではまだ人材不足ではなかったけど三ヶ月前に多くの徐霊師が消息が絶ったままになってて、しかも霊界とこちらの世界を繋ぐ扉が開くという事が起って私とクロすけで幽霊が見える人を探していた」

 よくわからない単語も出て来たがなんとなく大変な事だけはわかった。

「けど、だったら明花に使ったお札を使えばいいんじゃ?」

「あれは数多くの術式が書かれたやつだから量産出来ない」

「え?そんなにすごいのを私に使ってくれたの?」

 明花は罪悪感な感じでそう聞いた。

「まあ、普通なら大量の術式で脳が焼き切れてたかもしれないけど灯夜の妹だから大丈夫かなって思って」

 何か恐ろしい単語が出た気がした。

「「脳が焼き切れたかもしれなかったの……?」」

「うん」

「「怖い事させてんじゃねーー!」」


 こうして明花は幽霊を見えるようになり真保から徐霊師にスカウトされて俺達は学校を出た。

「……ねえ、徐霊師になってくれる?」

「私は無理」

 明花はきっぱりと言って。

「難しそうだな」

 俺はそう言っておいた。

「そう……」

 そして俺と明花は真保と別れて家に帰った。

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