第6話・メモリーロスト6

 真保はまだクロすけを持っている。

 明花は見えないと嘘を言っているのか、俺の幻覚なのか。

「あの、今川さん猫持っていますよね?」

 それを決めるのは真保の一言で決まる。

「猫じゃない幽霊」

「「幽霊!?」」

 俺と明花が言うと真保はうなずいた。

「……えっと、どうゆう事だ?」

「この子は幽霊だから普通の人は見れない」

 真保がそう言って説明すると、明花は俺より早く頭の整理が終わったらしく落ち着いていた。

「じゃあ、私だけ見れないの?……二人ともずるい!私にも見えるようにはならないの!?」

 明花はずるいずるいと今にも暴れそうだった。

「出来ないわけじゃない、けどそれには条件としてを一つ失なわないといけない」

「初めて?どうゆう事?」

 明花がよくわからない顔をしてると真保が教えてくれた。

「『初めて何かをした』という経験を失う事になる」

「え、それって選べるの?」

「いいや、ランダム」

 そう言われ明花は少し悩んで。

「いいよ!やって!」

「……ほんとにいいの?」

「いいって言った」

 明花がそう言うと真保カバンから一枚の紙を取り出した。

「それは?」

「幽霊が見えるようになるお札、このお札を額に当てればいい」

 そして真保は明花の額にお札を貼るとお札から光が出て何かが浮かび上がった。

 その浮かび上がったのを明花が見ると。

「゛ファーストキス゛を失いました……え?ふ、ファーストキス!?」

 明花が膝から崩れ落ちた。

「大丈夫か?」

「うう、ありがとうお兄ちゃん。ねえ真保、私のファーストキスって誰に取られたの?」

「あ、それは自分で決めれるよ」

「え!?本当!?」

 さっきまでの落ち込みが嘘のように真保の一言で明花の顔は明るくなった。

「どうするの!?」

「……顔が近い。お札の下のスペースにその名前を入れるだけ」

「やったあ!」

 明花はそう言ってペンを取り出し何かを書き始めた。

「何書いてるんだ?」

「えへへ~内緒」

 明花はちょっと頬を赤くしニヤニヤしながらペンを動かしていた。

 そして書き終わるとお札をカバンの中にしまい込んだ。

「じゃあ、本題に戻るのね」

 そしてまた真保の幽霊探しの話がはじまった。

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