第6話山野朱里と勉強会

1週間で課題を終わらせる!とは言ったものの、




「全く分からねぇ。」




本当にテキストに書かれている内容が全く分からないのだ。




俺はいつも全教科で赤点か赤点ギリギリ。もちろん人生で1度も平均点というものに達した事がない。




しかし、こんなところで行き詰まっていたら抽選日までに課題を終えることが出来ない。




もし出場枠を手に入れられた場合、それ以降は宿題などやっている暇が無いほど忙しくなるだろう。




まぁ、出場枠を取れなかったら暇すぎる2週間を過ごすことになるけどな、、、。




って、こんな事考えてたら課題がおわらん。




俺は再び課題にとりかかろうとしたその時。




ピンポーン




宅配便か?




ピンポンピンポンピンポン




うるさいな!この異常な程のピンポンラッシュ。宅配便ではなさそうだ。




俺は窓から玄関を覗いた。




そこには山野の姿があった。




「おい!なんで家知ってんだよ!」




「そんなのどうだっていいでしょ!」




「いいわけねーだろ!怖えよ!」




「とりあえず家に入れなさいよ!」




あーもうしょうがねぇ。




俺は下に降りて玄関の鍵を開けた。




「なにしに来たんだ?」




「あんたに勉強教えに来たにきまってるでしょ。」




ムカッときた。こいつは授業はほとんど寝ているにも関わらず、テストの点数だけはいいんだ。




ほんとにムカつくやつだ。




「断る。」




「拒否権はないわ。」




「なんでだよ!」




という俺の返事には何の反応も見せずに山野は家に上がり込んできた。




「仕方ねぇな。」




「なによ、その言い方。私は教えに来てあげたのよ?」




「頼んでねーよ!」




「うるさいわね!さっさとするわよ!」




ほんとにこいつとは仲良くできねぇ。




そう思いながらも俺は山野を自分の部屋に入れた。




「なんで急に勉強教えようって思ったわけ?」




「抽選日は1週間後よ?参加枠が手に入った場合、本当に忙しくなるわよ。どうせアンタは修了式から鞄もあけてないんだろうから特別に教えに来てあげたの。赤点ばっかりのアンタが1人で終わらせるなんて不可能だろうからね。」




ほんとにムカつくやつだ。余計なお世話とはこういう事を言うんだな。




「お前は課題終わってんの?」




「当たり前でしょ。6日で終わったわ。」




何でこいつはこんなに完璧なんだよ!




これが俗に言う十全十美というやつか。




「さぁ、始めるわよ。まずは数学から。」




それから俺は夕方まで課題の分からないところを教えてもらった。




今日だけで3分の1の課題が終わった。




「今日はありがとな。残りも頑張るよ。」




「何言ってんの?明日も来るわよ。」




「は?明日も来んの?」




「来んのって何よ。来ていただくでしょ。」




「なんでそうまでして俺の課題の手伝いすんの?」




「は?勘違いしないでくれる?私はパーティーメンバーの事を考えてアンタの課題の手伝いをしてんのよ!アンタのためじゃないんだから!キモイ!」




最後の一言は、ほんとに傷つく一言だ。




「わかったわかった。じゃあ明日からもよろしくな、山野。」




「朱里ってよんでよ」




「ん?」




「佳奈達も名前でよんでるでしょ。だから私も名前でよんで。」




「わ、わかったよ。あ、あか、あかり。」




「陰キャ丸見えね。」




「うるせー。陰キャは俺のアイデンティティだ。」




「キメ顔キモ。」




ほんとこいつだけはムカついて仕方がない。




これ以上話していたら怒りが爆発しそうだ。




「じゃ、また明日。」




と言うと山野、、いや、朱里は帰っていった。




今日はもう疲れたので寝ることにした。




そう言えば、なんで朱里が俺の家を知ってたんだろ。




そんな事を考えている頃にはもう俺は眠りに落ちかけていた。


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