第3話

 またいつものように部屋に引きこもって、夜になって、カーテンを閉めます。ベッドに横たわって、ごろんとして布団に潜ります。天上を見上げると、電灯が半円の鋭い月のように見えました。お月様は歯をむき出して笑っているようでした。お月様をあまり眺めてはいけない。発狂してしまうから。そう言われて、わたしは、眼を閉じました。今、だれがしゃべったの? そう心で問い返すと、さあね、とだれかが返しました。また悪霊にとり憑かれているんだ。わたしにはときどき霊障が出ます。霊による障害。わたしは悪霊にとり憑かれやすい体質なのです。お祓いに行った方がいいよと何度もまわりの人から言われるくらいです。あまり自覚症状はないんですけどね。わたしがうんざりしていると、お月様だよ、とだけ電灯は答えて、またただの白い光を放つ円状の状態に戻ってしまいました。お月様どこに行っちゃったのだろう? そう不思議がっても、もうだれもなにも答えてくれませんでした。

 


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