第24話・魔王様、獣人を試す。

「狩猟した経験はあるのか?」



グリーン・ボアの狩猟に同行したいという獣人の子供達にキースが尋ねる。



「グリーン・ボアという魔物を狩ったことはありませんが、他の魔物ならあります」



子供達のリーダーである男の子がそうはっきりと答えた。



森の中にある村で暮らしていただけあり、魔物を狩った経験はあるようだ。



元々獣人は、人よりも身体能力が高いとされ、狩りを行なうには最適な肉体をしている。



しかし、この子達はまだ子供であり実力も未知数。



「少し試させてもらってもいいか?」



いくら経験があるとはいえ、いきなり同行させるのは心配で、そう提案した。



「はい!」



子供達もそのつもりだったようだ。



「・・・じゃあ・・・相手する・・・。

・・・シャルの力・・・ちょうどいい・・・」



するとシャルが子供達の相手を名乗り出た。



シャルはシャドー・ウルフの分身を生み出せるから、実戦形式の模擬戦ができると考えたのだろう。



「頼む」



キースもそれには賛成であり、同意した。



――それからローナに経緯を話し、獣人の子供達7人を連れて、広いスペースのある広場へとやってきた。



そこは以前、使い魔召喚でシャルを呼びだした場所である。



あの時同様、誰ひとりとして人がいないうってつけの場所だ。



「武器は持っているか?」



シャルは必要ないとして、一見何も持っていないように見える子供達にキースが聞く。



すると、リーダーの男の子がどこかに隠し持っていたのだろう、使い古された短剣を取り出した。



「武器はそれだけなのか?」



「はい・・・。

後の武器は全部、襲ってきた男達に奪われてしまって・・・」



他の子供達も同様に、それぞれ武器を持ってはいるが心もとないものばかりだ。



村が襲われて逃げるのに必死だったのだから仕方ない。



「・・・少し待て」



その状況を見てキースが、魔物を収納するのに利用していた『アイテム・ボックス』の指輪を取り出した。



そして、何かをその中から取り出すように魔力を込める。



すると次々に武器や防具となる道具が大量に排出されていく。



「この中から好きな武器を選ぶといい」



今キースが取り出したものは全て、昔の勇者達が装備していたものであり、お金同様に有り余っている品だった。



「す、すごい・・・」



子供達が驚くのも当然で、武器の量もそうだが、勇者達が使っていたものだけあって価値のある品ばかりだ。



「本当にいいのですか?」



「好きに使ってくれ」



人間達にとっては価値のあるものでも、魔族であるキース達にとっては何の価値もないものだった。



様々な武器がある中で、子供達は少し遠慮気味に見ていたが、自分に合った武器が見つかったようで手に取り確認していた。



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