第3話 脱ニート!?

「え、ランクさん働いてないんですか!?」


「そうだぞー、ランクは超絶ニートだ!」


 先程助けた少女は、名をリリィ=スカーレッドと言うらしく、さっそくリリーシャと気があったのか2人で楽しそうに会話をしていた。でも俺の悪口みたいな話題で盛り上がるのはどうなんですかね。ここは一つ反論を。


「ばっかお前ら、俺はニートじゃなくてこの家を守ってんの!」


「え、それって働いてないってことじゃ…?」


「はぁ、これだから君はニートなんだよ…」


 反論すると、2人から呆れたような言葉が返ってくる。すると、リリーシャがふと気付いたかのように口を開いた。


「そうだリリィ! 君は行くところあるのかい?」


「えっと…お恥ずかしながらないです」


「じゃあ、ランクが真っ当な人間になるように手伝ってはくれないかい? 無論、この家の空き部屋を貸そうじゃないか!」


「は!?」


「え! 良いんですか!?」


 リリーシャが急におかしなことを言い出した。これはまずい。


「いや、ちょっと待ってくれ。そうだ! リリィ、何か目的があってここら辺にいたんだろ? それは良いのか?」


「じ、実はわたし、全く記憶がなくて…今のところ名前しか覚えてないんですよ。えへへ」


 お、重い、思った以上に話が重すぎる。

 そう思った直後、リリーシャがパンパンと手を叩く。


「まあ、良いじゃないかランク。なあ、良いよな?」


「ぐっ…わ、分かりました…」


 このクソババア…!

 そんなこんなで、同居人がなぜか急に増えたのだった。


     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 それから数日。リリィと言う同居人が増えたことにより、俺のニート生活は変わりつつあった。彼女はどうやらとても頑張り屋さんのようで、せかせかとリリーシャの家事を手伝っていた。そして、リリーシャが企む俺の脱ニート作戦も手伝っていた。

 起床は早朝、しっかりと三食を食べさせられ、なんなら運動と称して狩りをさせられる。ちょっと待て、リリィ強すぎやしないか。

 正直こんな生活をしていると、白い肌も黒くなってくるので非常に居心地が悪い。これは由々しき問題だ。今日こそ、今日こそは言ってやるぞ。


「リリィ、ちょっと良いか?」


「はい、なんでしょうか? ランクさん?」


「実はな…」


 俺はニートに戻りたい、そう言おうとした瞬間、何やら背後に悪寒を感じる。この間違えるはずもない殺気、スーパークソババア、リリーシャ=セブンのものだ。


「やあランク、仕事の時間だぞ?」


「ですよねぇー、はは…」


 これあれだ。リリィの頑張りのせいでリリーシャまでスイッチ入ってるやつだ。

 どうやら俺のニート生活復帰は、今のところ諦めるしかないらしい。

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