ウ○コまみれ

ウ○コまみれ

「うえぇ……冷てえ、なんで俺がこんな目に遭うんだよ」


 川の水でウンコを洗い落としていた。

 水は非常に冷たく洗うのに躊躇ってしまう。


 ケンカは最終的にお互いの体力を使い切る形で終わった。

 結構な大喧嘩だったが最終的に友情などは芽生えず、お互いにいがみ合うまま別れたのだった。


「大体、人間が小さすぎるんだよ。うう……冷てぇ」


 本当はシェルターのシャワーを使いたいんだが、アティウラがそういう便利なアイテムは人目があるところで簡単に使わない方が良いと忠告してきたので仕方なく川で洗い流していた。


「ほら、水かけるよ」


「ありがとう……ひゃおうぅ!! つ、冷てぇ!」


「我慢しなさい。冷えてもこの後サウナで温まれるはずだから」


 デルが今回も面倒を見てくれていた。


「冷たいっ!」


「我慢しなって、そのままでもいいの?」


「うう……つ、冷たい……」


 対岸では卿御洲の野郎が同じく洗い流していた。

 さすがに二匹の魔物は自由にさせるわけにいかないので見張りはアティウラに頼んだ。彼が恋い焦がれた待望のメイドさんだが、優しくしてもらえず半泣き状態だった。

 洗い始めたときはざまあみろと思っていたが、冷水で興奮が冷めた今は少し可哀想かなと思えた。


 友達とか恋人とか、とにかく優しくしてくれる人が近くに欲しかったのだろう。

 その気持はよく分かる。俺は運良く落ちたときにセレーネに出会えたから良かったけど、彼はそれまでずっと一人だったのだから寂しかったのは想像に難くない。


 いやセレーネは運じゃなくて、女神AIがやったことだけどさ。


 だからといってアイテムを使って女の子を手に入れようなんてのはもっての外だ。


「……ふえっくしゅん! うう……寒い」


「すんすん……臭いはまあ大丈夫そうね」


「ホント? うう、メチャクチャ寒い……いや、もう凍る!」


 日が傾きかけた寒空の中、上半身裸になっているので本当に寒い。


「アンタねえ、この服は捨てるわよ? 一体何枚ダメにする気よ」


 その服は玉さんの雑嚢から出てきたものなので彼の服だったと思われる。

 ごめんなさい玉さん、また一枚廃棄してしまいました。


 ああそうだ、玉さんとの約束もちゃんとやらないしないといけないんだよな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る