第3話 再会

「あ〰〰っ、良い詞が書けそうで書けない」



私は叫びつつも一人ぼんやりとしていた。



「何か今の想いを作詞にするとポエムっぽくなりそうだし……」



そこへ―――



「どうしたの? 作詞、浮かばないの?」



ビクッ

突然背後から声がし驚く中、振り返る視線の先には男の子の姿。


イケメン王子様のサプライズ登場だ!



「あっ……」

「前に君が飛ばされたのって作詞なんでしょう?」



≪逢えたぁっ!≫



「あ……はい……趣味で書いているだけで……正直……恥ずかしいんですけど……」


「バンド組んでるとか、組みたいとかないの?」


「えっ? ありませんよー。一からスタートしないといけないです。バンドのメンバーから募集しないと……」


「そうかぁ~」


「……あの……」

「何?」

「……いいえ……」



≪うまく話せない……私……好きなのかも……≫



「ねえ、君、一年生なんだね」

「えっ? あ、はい……えっと……新学期に転入して来たばかりで……いや……こんな事聞かれてないし……何言って……」


「良いよ別に。もしかして男の子苦手なの?」


「いいえ……苦手というか……何て言うか……目の前にいるあなたがカッコ良くて緊張して……」



≪あっ! つい……言っちゃった……≫



「クスクス……それはありがとうと言うべきかな? だけど君も可愛いよ」



ドキン

王子様のような男の子の台詞に胸が大きく高鳴る。



「い、いいえっ! わ、私はそんな……あっ! そろそろ行かなきゃ! それじゃ、私、失礼します」



私は走り去った。



「面白い子」


屋上から走り去りドアを開けると ―――



「うわっ!」

「きゃあっ!」



ぶつかってしまった。



「すみません」

「いいえ……あっ! ちょうど良かった!」

「えっ? あっ! 芳川君」

「先生が呼んでた。宇江谷に聞いたら、屋上だって」

「あっ、そうなんだ。分かった! すぐ行く」



ガチャ

背後の屋上に出るドアが開く。



「あれ? 圭悟(けいご)先輩」と、芳川君。



ドキン

胸が高鳴る。



≪もしかして……あの男の子?≫

≪けいご先輩って……彼の事?≫



「えっ!? 二人って……実は、そういう関係!?」



私達を交互に見る芳川君。


私も横目で、私の隣にいる人影をチラッと見る。



ドキッ

胸が大きく高鳴る。



≪やっぱり……そうだっ!≫



「だとしたらー?」


「ええっ! 先輩、マジで言ってます?」

「なーんて。偶々だよ。ねっ!」



ドキン

私に振ってくる彼の行動に私の胸が大きく高鳴る。



「は、はい。そ、それじゃ私は失礼します!」



私はドキドキと加速する胸を抑えつつ足早に走り去った。




1つ1つの仕草に


ドキドキしている


自分がいた




「竜信、彼女、知ってるの?」

「知ってるも何もクラスメイトですから」

「そうか」

「どうしてですか? ていうか一緒にいるなんて驚きました」

「どうして?」


「いや……先輩のレベルなら美人系?」

「勝手な思い込みは駄目だよ!」

「す、すみません」

「彼女とは今日で2回目だよ。偶然だけど」

「そうなんですね」


「彼女、可愛いね」

「あー、クラスの男子に評判は良いですよ。まあ、中には可愛いけど裏ありそうとか一部言われるけど、そこまで酷い噂は聞かないですけど」


「彼女は純粋なんじゃないかな?」

「えっ?」

「何となくだけど照れ屋さんなのかも」

「たった2回会っただけなのに?」

「話してみると面白い子だよ。本当、素直な子だなぁ~って思った印象かな?」

「そうなんですね」






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