第2話 出逢い

それから一ヶ月が過ぎ ―――10月



私は一人の時間が欲しくて、一人で作詞を学校の屋上で考えながら、ぼんやりする。



すると ―――


ピュー……


突然の突風に見舞われてしまい



「きゃあっ!」



パラパラパラ……


油断していた私の自作品の作詞の紙が風に煽られ宙を舞う。


「あー、ちょ、ちょっと待ってーっ!! 私の大事な紙ーーっ!」



パラ……


自作品の作詞の飛ばされた紙が一人の男子生徒の顔に落ちる。


「ん……? 紙……?」



私は気付く事なく紙を拾い集めながら数えていく。



「……ポエム……じゃないね……詞……かな?」


「あ〰〰〰っ! 足りなぁ〰〰い!」



私は半ば泣き状態で頭を抱えるように叫ぶ。



そんな私の姿に気付き、クスッと笑うと追い打ちをかけるように ―――



「すれ違っていた心……」



ドキッ

身に覚えのあるフレーズに反応し辺りを見渡す。



「あの瞬間(とき)が……」と、男の子の声。



「キャ〰〰ッ! 駄目ぇ〰〰っ!」と、私。



「止まればいい……」と、男の子。


「そ、それ以上は読まないでっ!」



ストッ

私のいる場所から高い位置にある段差から人影が飛び降りる。



スッ

目の前に紙を見せる。



「はい」



笑顔で私に渡す。



ドキン

私の胸が大きく跳ねた。



「今度は飛ばしたら駄目だよー」



そう言うと去って行く。




ドキン……



ドキン……



≪やだ……ドキドキが止まんない≫




私は胸の鼓動が速くなる。





驚いたのもあるけど



背が高くて王子様のような


超がつくイケメンの男の子


一瞬だったけど



『もう一度……逢いたい……』



その想いが


私の心は


ざわついた…………





そんなある日、紗理菜と待ち合わせをし会う約束をした学校の帰り ―――



「へぇー、そうなんだ!」

「うん! 本当カッコ良くて何かこう優しそうな雰囲気。まるで王子様みたいな」

「王子様ぁっ!? まるでおとぎ話!」


「いや、だって本当カッコ良かったんだよ!」


「そうかぁ~……でも華菜の学校はイケメン揃いって噂だし」


「えっ!? そうなの!?」


「うん。だけど、美女も揃っているとか?」


「ええっ! じゃあ彼女いてもおかしくない話だよね……」

「ま、まあ……一部だし実際は知らないよ? 自分の目で確かめたら?」


「いや……あれだけカッコイイなら……確める理由もない気がする……」


「まだ分からないじゃん!」

「うん……だけど、学年も名前も知らないし……紗理菜ぁ~助けてぇ~」


「また会えるって! 」

「……だと……良いけど……」




ある日の事 ―――



「はあぁぁ~……」



私は大きい溜め息を吐く。



「どうしたの? 大きい溜め息だね?」


と、蓮歌ちゃん。



「うん……あっ! そうだっ! 蓮歌ちゃん、探している人がいるんだけど……って言っても何の手掛かりもないんだ……」


「何? 言ってみなよ! もしかして、一目惚れでもした?」


「えっ!? 一目惚れ! ……そうかも……っていや、違っ……」

「話してみなよ!」



私は話をした。



「一回切りで……それから会ってないっていうか見掛けないというか……だから学年とか一切分からくて……」


「同じ学校?」

「うん……」

「ネクタイの色、覚えてる?」

「……ネクタイ?」


「うん。ここの学校は学年事でネクタイとリボンの色違うから」


「ネクタイ……色……」


「………………」


「その様子だと覚えてない感じだね? と言うより見れなかった? カッコ良すぎて、それ所じゃなかったって感じかな?」


「……うん……」

「……そうかぁ……まあ、私が思う限りここの校舎内で見掛けないなら先輩じゃないかな? 今の先輩達、男女問わずレベル高いから」



「美男美女かぁ~……じゃあ彼女いてもおかしくないよね……」





『また逢える?』


その想いだけが


私の心を夢中にさせていく











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