作詞が運んだ出逢い

ハル

第1話転校

「えーっ! 華菜(かな)転校しちゃうの?」



親友の・木多村 紗理菜(きたむら さりな)。



「うん……」

「えーっ! いつ?」

「今度の夏休み中を利用して新学期迄に間に合うようには」

「……そうか……」


「まあ、学校は違うけど、県外じゃないから会おうと思えば会えるし」

「本当に?」

「うん」

「じゃあ、会いに行くね!」

「うん! 私も」



私達は話題を変える。



「あっ! これ見て、見て」

「あっ! 新しい作詞?」

「うん」



私は趣味で書いている作詞を紗理菜に見せる。


「えっ? これ恋愛をテーマにした感じ?」

「うん」

「凄い! 超良いよ!」

「本当?」

「うん」



あっ! 申し遅れました。

私、邑月 華菜(おうつき かな)。16歳。

趣味で作詞を書いている。


別にバンドを組んでるとか、組みたいとか、そういうの無しに本当にただの趣味でしかない。


「ある意味、華菜の特技だよね」

「そう?」

「そうだよ」



私達は色々話をしていた。



ある日の事 ―――


「ここかぁ~新しく通う学校」



私は下見に来た所だった。



「こらぁーーっ!」



怒鳴り声と言うべきか、ここの女子生徒と思われる女の子が、一人の男子生徒を追いかけている瞬間に遭遇してしまったようだ。


「りゅ〰〰し〰〰ん!」


男子生徒は、女子生徒に捕獲された。



「ちょっと、ただの悪ふざけじゃん!」

「悪ふざけにも程があるっつーの!」

「うわっ!」



ズルズル引き摺られるように連れて行かれる姿。



「加須美ちゃーん。これじゃ俺……散歩を嫌がる犬みたいじゃんよー」

「だったら歩けっつーの!」

「一層このまま、ワンワンって吠えちゃう?」

「バっカじゃないの?」



「あんな……生徒もいるんだ……あはは」



私は呆れるようなシラケた笑いをする。




そして新学期 ―――



「えー、今日からこのクラスに……」



ガラッと後ろの引き戸が開く。



「はいざいまーす! 芳川 竜信(よしかわ りゅうしん)無事に遅刻しましたぁーー」


「バカタレ!」

「あはは……ですよねぇ~?」

「ともかく席につけ!」

「はーい」



≪あれ? あの子……確か……≫



私は、ここの学校の下見に来た日が蘇る。



≪記憶が新しく鮮明なんだけど……≫



私はそう思いつつも自己紹介を済ませ席につき、偶然、隣の席になった


宇江谷 蓮歌ちゃんと仲良くなった。

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