第6話 恋愛
ある日の放課後。
学校の正門を出て直後の事だった。
「あの!」
私に声をかける他校生の男子生徒。
「はい」
「良かった。まだ学校にいたんだ」
「えっ? あ、はい……」
「ちょっと……話があるんだけど今から時間くれないかな?」
「えっ!? 今からですか?」
「都合悪いかな? ここでは話せない内容で……」
「……話せない……?」
「……はい」
話せない?
まさかの告白?
ちょっと期待しつつも
彼の後をついていく
向かった先は近くの公園だ。
「すみません。俺、宇御山 正人(うみやま まさと)って言います」
「はい」
「俺と付き合って下さい!」
ドキッ
突然の告白に胸が高鳴る。
「えっ?」
「初めて見かけた時、良いなぁ~と思って……ゆっくりで良いのでお願いします」
「えっと……」
「もしかして彼氏いたりしますか?」
「いいえ、いません。だからって好きな人がいるわけでもないんですけど……」
「…………」
「異性と付き合うとか付き合わないとか、そういう恋愛関係になる事、考えた事なくて」
「分かりました。これ連絡先です」
「えっ?」
「いつでも良いので連絡下さい」
そう言うと私達は別れた。
その日の夜。
「へぇー、付き合ってみれば? 別にゆっくりで良いんだし、俺なら付き合ってみるかな?」
「悠也は、沢山のファンがいるから誰もが付き合いたいって思ってるよ。沢山いすぎて選ぶの大変だね」
「そんな朋華ちゃんは、俺と24時間ほぼ一緒だね! 超幸せもんじゃん!」
「それはそうだろうけど……でもバレたら怖いね」
「その時は俺か必ず守ってやるから!」
ドキン
胸が高鳴る私。
「えっ?」
「なーんて台詞があったっけ?」
「せ、台詞っ!?」
「何、マジになってんの?」
「業界キャラ出すな!」
「別に出してねーし!」
私達は騒ぎつつも、その日の夜は更けていくのだった。
次の日、告白された彼に OK の返事を出した。
ある日の夜。
「ねえ、悠也は女優さんに恋したりしないの? 良くあるじゃん! 芸能人同士の恋愛報道。密会とかデートとか」
「あー、恋愛には進展しないなー。女優さんから告白されたりはあったけど付き合おうって気にならなくて断ったのがほとんど。俳優さんといる方が多いし」
「そうなんだ」
「そうそう」
「だけど、不思議だよね」
「えっ?」
「私達、同居してるのに何の報道にならないのが」
「それだけ平和だって事だろう? まだまだ汚れてないピュアな朋華ちゃん継続中! 良かったな!」
「辞めて!」
「だけど、今の彼が……もしかして……」
「な、何言って……」
私達は騒ぐのだった。
ある日の事だった。
私に声をかけてくる他校生の女子生徒。
「はい」
≪……あれ……? この制服って……≫
「彼からの伝言預かってきたんですけど」
「彼からの伝言?」
「はい。これを渡して欲しいってメモを預かって来ました」
「そう……ですか……」
「じゃあ、渡したので失礼します!」
女子高生は去って行く。
あの制服は間違いなく彼の学校と一緒だ。
女子生徒に頼む理由が分からない。
何となく怪しいと思いつつも行ってみる事にした。
「アイツ」
ビクッ
突然に声がし驚く私。
「来れないんだって」
「えっ?」
「せっかく来たんだけど残念だったね」
ガシッ
両腕を掴まれた。
ビクッ
肩が強張る。
「きゃあっ!」
「静かにしろっ!」
「………………」
相手は、3人の仲間がいるようだ。
私の両腕を掴んで身動きが取れないでいる私の前に一人が歩みよる。
「何もしないって~大人しくしてれば」
「………………」
「俺達は頼まれただけだから」
「………………」
「アイツ、モテモテだから余り近付かない方が良いと思うぜ。忠告!」
「………………」
「まあ、多分嫌気が差してくる程、集中攻撃受けるだろうな。今後、気を付けた方が良いと思うけど? つまり、そういう事だから。おいっ! お前ら帰るぞ!」
私の両腕を離すと3人は帰って行った。
「………………」
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