十一巡目
連勝をほぼ手中に収めながら、まさかの逆転負けを喫したその日。私は家に帰るとパンツに仕込んでおいたロザリオを取り出した。
真っ黒に焦げていた。
悪魔と契約とかしてない…よね?
***** ***** *****
「せっかくアリアリルールでやってるんだし、食いタンやってみれば?」
後輩君の爆発力を削ぐにはどうしたら良いか。今回、私が考えた策は、どうやっても高い手にならないような役を彼に狙わせて、その爆発力を安いアガリで消費させてしまおうというものだ。
ドラを抱え込んでくる可能性はある。だが晒してくれれば危険度を判断して動くこともできる。少なくとも
その結果、意外なことが起きた。
「全然ダメですね。なんかテンパイできない…」
後輩君。どういうわけか食いタンができない。テンパイすらできず、もちろん全然アガれない。
これはもらった! と思った。
「鳴くと手牌がぐちゃぐちゃになるので、
でも後輩君はこんなことを言いながら、ギアチェンジして攻めてきた。
私はプレッシャーを感じつつも、先手でリーチをかけた。その次の巡目、彼は狙っていたかのように追っかけでリーチをかけてきた。
もうこうなると未来が予知できる。
私は一発で振り込む。
「あ、先輩、ロンです!」
彼がもっとも得意とするカンチャン待ち。掃除機がついているかのように、他家の捨て牌を吸い込んでロンする。
「リーチ一発断么ドラ1。何点ですか?」
「2000点」
私は大嘘を吐くも、同僚AとBに正しく点棒を抜き取られる。
「後輩君。前にも言ったけど、カンチャン待ちなら手が変わるのを待ってリャンメン待ちにする手もあるからね?
「僕、そういうコントロールが苦手なんですよね。だからテンパイしたら即リーチかけちゃいます」
それが困るんだけどね?
局が進んで、また似たようなシチュエーションになる。
他家がリーチをかけているわけでもないし、負けている状況である。私がリーチを躊躇う理由はない。
「リーチ」
頼む、ここは一つアガらせてくれ!
でも祈りは通じず、後輩君の追っかけリーチを許してしまう。
またか。また振り込むのか。と思っていたら、先にダマでテンパイしていた同僚Aが後輩君からロン上がりした。
良かった。最悪の事態は逃れた。
しかしまたまた同じ状況。私は先手でリーチをかけ、後輩君が追っかけリーチをかける。そして今度は後輩君に振り込む。
その次の局。後輩君が同僚Bに振り込む。
何、この搾取システム。
しかも最下層は私?
とりあえず後輩君は、食いタンするより門前で揃えた方が早いらしい。
って。
いやいやいやいや、なにそれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます