3話 依頼の準備は仲間と共に
2016年 7月20日 PM 15:32
国/ロギエ連邦
町/セルピ
季節/秋
俺たちは、暗殺者だが、暗殺以外の仕事もある。
それは、同類である印持者の救出である。
印持者は、印持者保護法により、国の保護下に入る代わりに、軍事協力する形で暮らしている。
だが、それはあくまでも、一部の国がやってる話。
実際は、国家が秘密裏に研究の実験で、モルモットの様に扱われていたり、どっかの社長や富豪は、私利私欲で奴隷のように扱っているのが実際の現状だ。
そのような末路にさせないため、救出しに行くが、もう一つ理由がある。
それは、チームの増強だ。
俺たち暗殺チームは、現在7人の印持者で構成されている。
国を相手に暗殺や救出活動しているため、出来るだけ人がいた方がいい。
だが、救出したからといって、強制して仲間になれということはしない。
国を相手にし、手を汚すのだ。
やりたいと言う方が少ないだろう。
過去に2人救出した時、国の印持者保護法によって、家族と過ごすためそちらに行った奴もいる。
今回任務では、まだ成人していない女の子であり、オークションで売られるということから、家族は多分いないか、家族に売られたケースが高い。
それに、もし……
「起きろー」
いつものウザい声が聞こえる。
目を開けると目の前に、ココアが膝の上に、頭から乗っかっていた。
目を瞑っていたから、寝た風に勘違いされたようだ。
「俺は寝てないぞ」
「本当か〜?まぁそれならいいけど、オニオンちゃん帰ってきて、準備出来ちゃってるよ」
「そうか、フィルナに悪い事をした。今行く」
「ふふーん、それでよろしい」
ココアは不適に笑いながら、俺の頬を人差し指で突いてきた。
言動がムカつくから、ぶん殴ってやろうかと思ったが、いつものことだった。
「やめろ、殴ってやろうか?」
「ふふーん、この超天才で可愛すぎてスタイル抜群の美少女ココアちゃんを殴れるかな?」
ココアは立って、両手を後ろに組み笑いながら言った。
俺は立って、ココアの頭を軽めに殴った。
ゴンッ!とココアの頭から音がなる
「いたーい、男は女に暴力振っちゃいけないんだぞー」
「殴られたくなかったら、もう少し言動を慎むべきだな」
たまには、1発やらないと気が済まない。
食事も睡眠も読書の時間も、全部こいつは絡んでくる。
俺だけじゃない、うちのメンバー全員にだ。
自分が絡まれても嫌だが、他の仲間も絡まれてるんのも嫌な気持ちになる。
まだ、俺以外優しくてよかったなと思う。
「それより、フィルナはどこだ。」
「オニオンちゃんは地下で待ってるよ。そろそろあっちは夜明けだし。」
「そうか、わかった。」
俺とココアは地下へと階段を降りて行く。
うちのチームには、オニオンという女の子がいる。
暗殺の長期任務で今さっき帰ってきたのだ。
地下を降りると壁には、ハンドガンやライフルなどの銃火器、サバイバルナイフや軍刀などの刃物が一面にあり、地面には、弾薬や工具が散らばっていた。
その中央には、髪が腰まで長く紫色で、ぶかぶかの黒い服を着た女性が石を持って立っていた。
前髪が長すぎて表情は口しか見えなく、深夜に歩いてたらお化けと間違われそうな人だ。
「キ、キリルさん、ココアさん、い、今帰ってきました」
明らかに変な喋り方をしているこの女性は、パーフィルナ・オニオン。
みんなはオニオンちゃんと言うが、俺はフィルナと呼んでいる。
「に、任務の内容は聞いています。きゅ、きゅ、救出任務ですよね。じゅ、準備できてます。」
そう言って、フィルナは手に持った石を見してきた。
石には、レナドと書かれていた。
どうして、フィルナが石を持っているかというと、彼女の能力にはそれが必要だからだ。
フィルナは、見れたり触れる物を代償とする、ダイヤの印の印持者であり。
能力は、A地点からB地点に行く時、B地点にあった物を代償にすることで、どんなに遠く離れていても、すぐ移動できる空間を作り出す能力だ。
例えば、今家にいて、外国に行きたいとする。
そして、手元には行きたい外国の果物があるとしよう。
フィルナの能力を使い、果物を代償にすれば、行きたい外国の果物が取れた、果樹園に移動できる空間を作れる。
俺たちは、いつもこの能力で暗殺対象先へ移動する。
この能力を使えば、交通費が浮くということもあるが、空港や港は国が印持者を捕らえるため、監視態勢を強化している。
そもそもにして、俺たちは暗殺者であり、能力で密入国している。
世間には知れ渡っていないにしろ、危ない道は通らない方がいい。
「さっすがオニオンちゃん!準備がいいねー」
「あ、ありがとうございます」
ココアはフィルナの肩を笑いながら叩き。
フィルナは照れていた。
「俺は準備できてる。いつでも出発できるぞ」
「ちょっと待ってー。着いてからある程度移動するんでしょ?お菓子持ってくるー」
そう言ってココアはドシドシと音を立てながら、走って階段を登って行った。
任務なのに、ピクニック気分である。
「こ、ココアさんは、いつも楽しく明るいですよね。わ、私ちょっと羨ましいです」
「そうか?俺はいつもウザいと思うんだが」
「え、えっと、そうなんですか?き、キリルさんは静かな人が好きなんですか?」
フィルナはもじもじしながら、そう聞いてきた。
静かな人、騒がない人……
パッと浮かんだのはリーダーだ。
暗殺組織のみんなが個性派すぎるせいか、1番真面目なリーダーが思い浮かんだ。
静かで落ち着いていて、みんなを思いやって行動する人。
好き?尊敬はしてるがどうだろう。
「まぁ、好きっちゃ好きだぞ。リーダーは」
「えっ、リーダー!」
「ん、リーダーは静かで好きかな」
そう言うとフィルナは口周りが赤くなり、「BL、ぐふふふ」とか呟いてる。
BLってなんだ?
任務の計画が開始されるまで、賑やかな暗殺者たちだった。
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