ラウンド2、ファイッ!
ブエノスディアス! 異世界送り担当女神イセカです! 長いんで次からは
本日は朝っぱらから出勤しております。なんでこんな時間に来たのかと言うと、それはもちろん月曜日だから。高校生のあの祐之介はもちろん登校するはずよね。学校へ行くという明確な目的がある以上、昨日みたいにいきなり引き返しちゃう可能性は低い。さらに今朝は万全を期してこちらのゲストにも来て頂いております!
「どうも、車道に飛び出し三十年。いきなり車の前に飛び込んで行く子役兼スタントマンこと『飛び出し君十三号』です」
──飛び出し君十三号さんは、この業界のベテランですよね。異世界送り以外でも様々なジャンルでご活躍されているとか?
「そうですね、本物の子供を危険な目に遭わせるわけにはいかないんで、自分が彼等を守るつもりで、いつも気合を入れて車の前に飛び出しています。まあ大体の場合は誰かに助けられるんで、実は実際に轢かれたことってほとんど無いんですけど」
──本日も確実に決めてくれますか?
「任せて下さい。人間には僕は普通の子供にしか見えていませんから、絶対に最高のタイミングでターゲットをトラックの前に引きずり込んでやりますよ」
──頼もしいお言葉です。では、ちょうどターゲットの姿が見えましたのでスタンバイのほど、よろしくお願いします。
「はい、ではボールを持って、位置について……オッケーです! いつでもどうぞ!」
よし、転生トラック発進!
「まだ、まだ、まだ……ここだ!」
「!」
おお、祐之介が反応した! さすがに候補者に選ばれるだけあって子供のピンチは見逃せな──って、なんで大きめの石を拾うの? そしてどうして振り被るの? な、投げたああああああああああっ!?
そして前輪の下へ吸い込まれるように! ああっ、タイヤが石を噛んだことで進行方向が変わり、手前のガードレールに激突したあ!?
「すいません、私、たった今死んだガードレールなんですが」
後にして!!
ど、どういうことですか飛び出し君十三号さん! 失敗しちゃったじゃないですか!?
「こ、こいつ……本来なら身を呈して救出に入らせるため用意してやった僅かな時間の余裕を逆手に取り、あんな方法で……負けた、この仕事を三十年続けてきたが、これほど見事な敗北は初めてだ……」
あ、駄目だこれ。思ったより強烈に落ち込んでる。そしてあいつはまた事故をスルーして行っちゃったよ! 聞こえたわよ「また無人か……」って呟いたの! だからちったあ驚きなさいって!!
「な、なんだ、トラックが消えたぞ!?」
「噂の妖怪トラックだったんじゃないか……? 危なかったなボウヤ! あれ? 加齢臭?」
あ、やばっ、他の通行人達が騒ぎ出した。もう行きますよ飛び出し君十三号さん!
あとガードレール! アンタはキノコに転生! 「車に分類されるものならそこそこの確率で止める」スキルで異世界行き! 頑張ってね!
わたしも明日また頑張る!!
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