第15話 彼の詩「ニュース」
スイッチをつけると そこには
医者が患者を見殺しにした
少年少女は薬漬け
犬が主人を救った美談があって
就職希望者が多い状態を氷河期と呼んだ
色んな理由で人が死んで
事故が起きたり
賄賂が渡されたり
あとは 天気予報で曇り 晴れ
ニュースは同じようなことを 毎日繰り返す
けれども誰も 不思議に思わない
みんな同じ毎日だから
繰り返されても構わない
画面からは情報 流れ
時間ばかりが浪費され
心がどんどん死んでいく
さぁ、今日はどこで誰が何をした?
ちょっとや そっとじゃ驚かない
だって 心は死んでいるもの
だって僕は死んでいるもの
*
◯月◯日の午後5:00頃
××町の田島さん宅で
長男の賢一君が遺体で発見されました
警察の調べでは
賢一君は自宅にあった刃物で
自殺したとみられており
警察は今後
両親に事情を聞くと共に———
*
これはニュース
たぶん
ヘリのプロペラの乾いた音が
団地の上に
響いたりしてるんだろうな
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