第12話 彼女の詩
花咲き 浮かれ 季節過ぎ
たかい木のうえ 木の実がひとつ
仲間の実と共に
お日様あびて 雨浴びて
なかまの実達と色付きました
ある日 農夫が やって来て
なかまを もぎって食べました
美味い と笑って言いました
あくる日 小鳥が飛んできて
なかまをついばみ言いました
お礼に種を
運んであげる
いつの間にやら
仲間はいなくなり
たかい木の上 木の実がひとつ
最後のひとつ
いつも怯えて 腐っていった
それから それから 日が経って
ある日 農夫がやってきて
腐った実を見ていいました
おれに食われてりゃあ
美味いって 言ってやったのに
ある日 小鳥が飛んできて
腐った実を見てさえずりました
わたしに食べられていれば
種を遠くに運んであげたのに
それでも それでも
木は心の内で思います
木の実を土に還して糧として
未来につなげて行くのだと
たとえ ほかの生命が
花愛で 葉を見ず
実を享け 幹を 歌わずとも
それでも
ひと知れずがんばり 根をはって
天に枝葉をひろげて行こうと
誇りをもって思うのです
そうして私に くれるのです
かけがえのない何かをくれるのです
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