第26話  買い物

 宿で風呂に入るのはイザベラが先だった。 


 暫くするとバスタオル一枚のみを巻いて出て来たのだ。足は長くすらっとしているが、バスタオルの大きさが股下数センチだから、お股が見えそうで見えない。胸もぎりぎり隠れている感じで刺激が強い。しかも本人に誘惑するつもりがなく、当たり前の格好と羞恥心が無いものだから始末に負えない。


 晃は鼻血を出しながら逃げるように風呂場に行く。


「何を慌ててるのかな?そんなに早く湯は冷めないのに変な子。でも可愛いな。うふふ」  


 そんな感じで、自分の体が女として成熟した魅力を醸し出している感覚がまるでなく、無防備だ。


 そして夜寝る時に困った。

 なんでも近隣諸国で戦争が有ったとかで難民が押し寄せていて、宿が一杯になり晃達は2部屋をとれず、2人で一部屋を使わざるを得なかった。

 ベッドが一つで、晃が床で寝るというと、じゃあ私もとなったので仕方無くベッドで一緒に寝る事になった。


 イザベラは天真爛漫だ。

 ちゃんと寝間着を着てはいるが、気崩れていて胸がぽろりしそうだったので、晃は寝間着を整えたりする。


 背中合わせでベッドインしたが、いつの間にか後ろから抱きつかれて


「無理しちゃだめだぞ。私を一人にしないでね。もう一人は嫌なんだ。ごめんね少しこのままにさせて」


 よく分からないが、普段あっけからんとしているイザベラが泣いていた。胸の感触にオロオロしていたが、きゅんとなり向かい合って抱きしめ、胸に頭を抱き込み頭をなでて


「大丈夫です。僕じゃ頼りないでしょうけど、女神様は必ず守りますから」


 うんと頷き二人は疲れから程なくして眠りに落ちるのであった。


 そして翌朝だが、晃は股間がもぞもぞするのと、息苦しさに目覚めた。


 何かが覆いかぶさっていた。ふごふごしていると

 イザベラからセクシーな声が聞こえてきた


「そんな事をするなんて、晃くんは積極的だね。いいよ」


 声がするとため息混じりで「はう!」と聞こえる度に股間に温もりを感じる。


 はっとなり体を起こすと晃の両肩に女性の生脚があり、下着越しとはいえ股間がもろに目の前にあり、真っ赤になった。そしてイザベラを跳ね飛ばし部屋の隅に慌てて下がる。


「ぐひー」


 と情けないイザベラの悲鳴がする。


「いたたた。一体何が?ふにゃ?」


 寝ぼけていた。


 イザベラは寝相が悪過ぎた。晃の方は寝た時の姿勢のままで、いつの間にか反対になっていたイザベラの股間が晃の顔に有り、晃の股間にイザベラの頭がある際どい状態だったのだ。


「め、女神様、寝ぼけててベッドから落ちたようですよ。僕顔洗ってきます」


 と思わず逃げていた。


 そんなラッキースケベはともかく、刺激が強かったとだけ指摘せざるを得ない。


 明るかったので外に出て体を少し動かし、イザベラと朝食を食べ、重い物や掃除道具を買う。店は前日にターニャから教えられていた。晃はお礼をしないとなと感じていた。

 イザベラの物を選ぶセンスが絶望的で、可愛らしいのを見つけると


「あ、晃くん、あの猫さんが私を呼んでるの。あのタオルで良いよね」


「これこれ、これにしようよ!かわいいの」


 実用無視で晃が却下していく。デザインがイザベラ好みのは高いのだ。


「駄目です。お金に余裕がありません。今度にしましょう!」


 そういうと拗ねるイザベラは中々可愛かったりするが、晃の意見は変わらない。


「いーだ。晃の頑固者!」


 終始こんな感じだ。

 服屋で汚れ作業用のを購入し、着替えに備えたりと晃の買い物には抜かりがなかった。イザベラは穴だらけだが。買い物を終え離れに置いていく。晃はテキパキとイザベラに指示を出していた。


 離れで別れて晃はダンジョンに向かう。

 イザベラを一人にしたのは、イザベラから真面目な話として茶化さないで、恥ずかしがらないでと言われた内容からだ。


 現在この世界でイザベラを犯す事ができるのは晃だけだと。

 初契約者以外は同意がないと性行為ができないから、もし屋敷に押入られ、襲われて犯そうとして触れようとすると吹き飛んでいくから、そういった心配がないと分かったからだ。言い方を変えれば、晃がイザベラを犯そうとしてもイザベラは普通に抵抗するしかなく、腕力の違いから無駄な抵抗になる。それを踏まえて契約するから見極めが大事だったりするとも言っていた。


 そうして晃は家をイザベラに任せてダンジョンに繰り出すのであった。


これで第一話前のお話は終わりになります。

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