第3章  大輔へ

第27話  プロローグ

 大輔は大学3年生で、陸上部にて10000mの選手をしている。また駅伝部にも所属し、忙しかった。

 大輔は寡黙でシャイだ。今は陸上一筋で彼女は居ないが、時々意見がぶつかると熱くなる。


 身長は175cm、見た目は何処にでもいそうなスポーツマンで、まじめそうで優しそうな青年といった感じだ。 顔は二枚目な感じでまずまずの顔だ。イケメンでは無いが、どこか影のある感じが女心をくすぐるらしく、そこそこモテた。しかし、結構面食いで理想が高かったのと、強面からは真逆で、時々高校生に喝上されるが、走って逃げ、当然逃げきっていた。


 また、趣味を理解して貰えず周りから孤立気味だった。


 但し陸上部の奴らは別だ。同士がいたのだ。

 所謂アニメオタクだった。服装のセンスも悪く、如何にもな服装もあってターゲットにされる傾向があった。それとかなり臆病で、護身用に折り畳みナイフを常に持ち歩いている。陸上のようにやる気さえ出れば、信じられない位の努力と情熱を注ぎ実力を発揮するが、基本的に面倒くさがり屋で、親等からはやる気さえ出ればと呆れられていた。


 それ以外は取り立てて特筆した所はない。たまに受けを狙おうとして大きく外す事があるが、外し具合よりもペラペラと喋った事に周りが驚く。

 また、テンパるとペラペラしゃべる傾向があるが、趣味の話は大好きで別だ。得意は裁縫。そう、コスプレの衣装を自作していたからだ。連邦軍のベージュなせいふくとか。


 ウエストポーチには年頃なのもあり手鏡と簡易な裁縫道具、折り畳みナイフ、小さな水筒、方位磁石が入っていた。方位磁石は逃げ回り位置が分からなくなった時に、知っている場所に戻る為に持っていた。


 最近何故か同じ夢を見る。映画に出てくるようなコロシアムで剣闘士として誰かと戦っていて、無様に逃げ回っている。失禁しながら無様な姿を晒していたが、相手が自滅して勝手に死んでいて訳が分からない。


 場面が変わりコロシアムの中で勝者として観客から拍手喝采を浴びていた。大輔も興奮し、両手を突き出し叫んでいる。また場面が変わり女性と言うより少女の手を引き必死に逃げていた。顔は見えなかったが、身長や胸の大きさから中学生位だと思う。

 毎度逃げおおせた歓びで抱き合っている所で目覚める。最後に助けてと頭に女性の声が木霊していてやがて目覚めるのだ。


 その日は晴天の暑い日だった。

 

毎年恒例の陸上部のサマーキャンプに参加する為、買い物に出掛けていた。と言っても去年使っていたスマホのソーラー発電タイプの充電器が壊れ、買いに出掛けていた。電源がないのだ。テントを設置するキャンプなので当然だ。


 帰り道にふと今歩いている道の脇にある空き地が気になった。何故か以前そこに何があったか覚えていない。


 空き地の中に違和感を感じ、確認しに行く。

 何か光ったような気がして手をやるとそこに何かが有った。

 また周りに何故か米?が自生していて、気になったので後で調べようと一房もぎ取りウエストポーチに入れた。


 少し土をのけると何か数字の書いてある物が有るので、拾い上げようとして手を伸ばした。

 しかし持ち上げている最中に手から転げ、地面にに落ちる。すると100の数字を上にしてそれは止まり、頭に誰かの声がした。


「残念ですが大不幸の100を引きました!大不幸発動!いってらっしゃい。生き残ったら運は上向く筈だから、今から1週間は死に物狂いで生き残って下さい!生き残ったら最高の目です」


 大輔は混乱したが、辺りが一瞬暗くなり、落下感があり、気が付くと何処かを転げていて、砂まみれになっていた。


 あちこちぶつけ痛みが酷い。そして斜面が終わったが、地面に頭を強く打ち付け気絶するのであった。



 どれ位時間が経過しただろうか?

 ふと大輔は意識を取り戻す。


 蒸し暑く周りが騒がしい。何かを打ち付けるカンカンという音や掛け声が聞こえた。


 恐る恐る目を開けると、そこは見た事のない粗末な汚い大部屋だった。戸惑っているといきなり視界の外から声を掛けられた。


「よう兄ちゃん、ようやく気がついたか。立てっか?」


 大輔は戸惑いつつ


「あっ、はい。」


 と慌てて立つと足が少し痛いが立てた。しかし、空腹からふらついた。


「よし!飯を食ったらなんとか歩けそうだな。おい誰かボスに新入りが起きたと伝えてくれ」


 目の前の大男は鍛えられたフランス人?という感じだ。

 大輔の格好は目の前の大男と同じような皮の服だ。ふと違和感があり左手を開けると空き地で見た物、つまりダイスが有った。そう、あの時100が見えたのは、100面体のサイコロ=ダイスであったのだ。


 訳が分からなかった。夢でも見ているのか?という状況だが、夢ではないと何故か分かった。一つ言えるのは日本人じゃない奴の日本語が流暢な事と、日本以外にいるのが何故か分かった事であった。

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