第17話  ターニャさんに遭遇

「はじめはまして。担当させて頂くターニャと言います。色々聞かせて下さいね」


「は、はい。晃と言います」


 軽い自己紹介の後にターニャと名乗る若いエルフとの話が始まった。晃は気狂いと思われる危険を考え、異世界から来たとは言えなかった。


 街の外にいて何者かに連れてこられたようで、気がついたらダンジョンの中にいたと説明していた。意識を失う前は確かにダンジョンにはいなかったと。


 名前は聞けなかったが、とある冒険者パーティに助けられた事や、色々有りダンジョンに挑みたい旨を話した。


 ターニャからは各冒険者には担当が付き、良かったらそのまま担当になると言われる。


 先程ダンジョンで無許可者が出入りした警報が鳴り、本来出入り不可な結界をすり抜けた者がいたと聞かされた。


 またダンジョンに入るには女神と契約をしていないと無理だと言われ、どこかの冒険者パーティに入れて貰い、その女神と契約をするのが一番の早道だと。ダンジョンに連れてこられたなんて嘘は駄目だぞと窘められ信じてくれなかった。


 女神と契約をするとその女神固有のギフトという名の加護を授かり、同じ女神から加護を受けた者はファミリーとなり、同じ特有の能力を授かる。他のパーティに移る場合は新たな女神と契約を交わす。そうすると今までのギフトが失われ、新たなギフトを授かる。


 但し、未契約の女神と最初に契約を交わした者は女神が死ぬまで他の女神と再契約が出来ない。また、契約前は見た目が幼女で、契約すると契約者の年齢や能力次第で少女〜成人女性に姿を変える。またその時までどういった加護を持っているか女神本人すら分からず、ハイリスクハイリターンな博打だと言う。


 それとお勧めの宿や貨幣価値を教えてくれた。


 晃は拾った石を見せると顔色が変わった。何故なら魔物はダンジョン内にしかいなく、晃が女神と契約していないと分かっていたからだ。


 つまりダンジョンから出て来たのが嘘ではないと。何故なら見せられた魔石はレア種で1個20万ゴールドもする。強い訳ではないが、魔道具の材料で、月に1体出れば良い位の希少品で、そんな貴重なのを誰かにあげるわけがないからだ。


 ターニャは晃からただならぬ運命を感じていて、上に報告するのを躊躇った。あの警報はどうやら目の前の便りなさそうなおっとりした感じの彼が原因らしいからだ。


 晃は童顔で、恐らく12、13歳に見られている。ターニャは20歳だが、人間だと14歳にしかならない。年齢以上に大人に見えるから変換年齢で年下なのだが、二人共認識を違えていた。変換年齢だと晃の方が上なのだ。晃は15歳だ。


 拾った石は魔石と言われ、拾ったら集めてギルドに持ってくると換金出来る。ターニャはアシスタント担当として、担当している冒険者へ助言等のサポートをし、持ち込んだ魔石の3%を対価として貰う。なので、担当の冒険者の稼ぎが給料になるから、全力でサポートすると。まだ駆け出しで、引退した先輩から引き継いだ1パーティしか担当がなく、普段は他の者のヘルパーをしているという。晃がするのは所謂専属契約だ。


 晃はこのお姉さんが気に入り、握手を交わす。


 今日は言われた宿に泊まり、明日からファミリーに入れてくれるパーティーを探す事になった。


 ターニャの勤務がもうじき終わるというので、帰りついでに宿への案内と、夕食をする事になった。担当としての晃の活躍の前祝いだという。


 冒険者への申し込みをしたが、字が書けず書いて貰っていた。能力確認などしていたが、晃の場合異常だらけだった。各ステータスが見えなかったと。こんなケースは初めてらしい。

 晃もレベルしか見えなく、勿論1だ。普通は筋力とか、敏捷、魔力が見えると。


 手で触れると相手のステータスがアシスタントには見えるそうだ。そういう女神と契約をしていて、ギルド職員は全て契約しているという。


 ギルドの外で待っているとターニャが通勤服で出てきた。すらっとしていて晃から見るとやや童顔だがかなり綺麗で晃はドキリとしていた。通勤服なのでシックな服だ。

 実際は年相応に見えていて、ギルドの制服がターニャの年齢を上に見せていた。

 また片目にだけ勤務中は眼鏡を掛けていたので、理的な大人の女性に見えたのだ。マジックアイテムで魔石の鑑定等の鑑定能力がある。髪は肩くらいまであるが、今はポニーテールだ。仕事の時と雰囲気がかなり違った。


 どことなく、助けてくれた少女に似ていると思うが、そういえばあの子もエルフだなとふと思っていた。


 宿はギルドから近く、食事込で2泊で金貨1枚だった。リーズナブルな部類というが、所持金からは長く泊まれず、収入を得る手立てが早急に必要だった。


 宿で申し込みをして、部屋を見てくる。少し見てすぐ近くの食堂に行くと、ちゃっちゃとターニャが注文していた。


 そして早速切り出してきた


「ねえ、君って何者?驚かないから話して。他言しないからね!ねっ!」


ターニャが小悪魔的にお願いスタンスで聞いてきて、くらくらする。


「うーん、初対面の人に話したものかどうかですか、困り果てている僕を助けてくれたターニャさんに正直に話しますが、多分信じないですよ?」


「大丈夫よ。これでも人を見る目は有るつもりだから。ね。話してね!」


「まずはこれを見てください。その前にスマイル!」


 晃はスマホを出しニッコリしているターニャを撮影した。


「何よそれ!」


「しっ。声が大きいですよ」


「ご、ごめんなさい。君ひょっとして異世界人?」


 晃は噎せて


「どうして分かったんですか?信じてもらうのに何を話せば良いか迷っていたんですよ」


「えっ?ほんとに?今それを出したからね。今君が見せた能力って以前の異世界からの来訪者がやってた事だってギルドで教えられたのよ」


「先ずはここを見てください」


 ターニャの写真を撮影し見せると


「これって私じゃない?君魔法使えるの?さっきは魔法の取得はなかったわよ」


「いや、今後は分かりませんか、今は僕も使える認識は無いですよむ。これは技術的に作られた文明の利器で、こちらで云う所の魔道具ですよ。写真と言って、リアルな絵みたいなのを道具が記録しているんです。あとこれは僕がいた世界の建物です」


 スマホに入っていたサンプルの写真に高層ビルがあり、それを見せたりして、文明の違いを説明していたが、スマホを覗き込むターニャの顔が近くにあり、いつの間にか隣に来ていてドキドキしていた。胸も当たっていて真っ赤だった。ターニャはわざとしていたのではなく、画面を見たく夢中になっていただけの天然さんだった。破壊力の高さは高校に入りたてのチェリーには十分だった。着痩せするタイプか、意外とボリュームが有ったのだ。そしてしっかり谷間も見えていた。


「あちゃー。適当に言ったんだけどなー。本物だったのね。お姉さんは君の味方だぞ!だから君の世界をもっと知りたいぞー!」


 そんなこんなでちょと年上のお姉さんとの食事も終わり、明日はギルド近くで、ギルドに来る冒険者達に仲間にして貰うお願いをする事になった。ターニャはご機嫌で帰っていったが、晃は撮った写真を見て綺麗なお姉さんだったなとほっこりしていたのであった。それとしっかり写っている谷間に目を点にしていたのであった。意外と大きいなと。

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