第16話  洗礼

 どれ位走っただろうか?いつの間にか街中に来ていた。


 映画や古い外国の観光地のような町並みで、やはり日本ではない。煉瓦を基本とし木の建物も少なからずある。一つ言えるのは電柱がない。


 先程までいたダンジョンが何処にあるのかはよく分かった。後ろを振り向くと一際大きな神殿のような建物があったからだ。いやタワーだろうか。入り口は神殿なのだが、離れるとその上しか見えないが、ザッツタワーだ。


 晃は自分がやっぱり異世界に来たのだなと、すれ違う人々を見て思い知った。


 ドワーフ、エルフ、小人、耳から獣人等亜人が多くいる。勿論人間も沢山いる。


「トンデモナイ所にきたな。参ったな。現実問題としてここで生きていかないとだよなー。確か最古のダンジョンをクリアしないと帰れないって話だったような。あーあーポチらなきゃよかったけど、まあ今更だよね。さあってどうすっかなー。さっきの子綺麗で格好良かったな。それに比べ僕は何やってるんだろ。また会えるかな。お礼をちゃんとしたいな。あんな子が彼女だったら凄いよなー」


 等と呑気にボヤキながら歩いて町並みを観察していた。


 晃はこの世界での生活の術を必要とし、お金を稼がないといけないと感じた。ダンジョンの事があるからまあ、小説のように冒険者なんてどうかな?となんとなくそれしか無いと理解していた。


 何故なら他の職業は文字の読み書きが出来ないと駄目なんだろうなと、看板の字が読めなかったからそう感じていた。会話は成立していたが店で働くのも厳しいだろうなと。


 ふと、お金あるかな?と思うと手に財布が現れ、いくらか入っていた。周りを観察すると露天で支払っている貨幣から自分がある程度持っているのがわかる。


 まずは宿なのだろうが地理不案内だから困り果てた。


 取り敢えず冒険者風の者の後をつける。


 すると何人かが出入りしている建物がある。


 建物に入るとカウンターや4人がけや2人掛けのテーブルが複数在る。


 中に入ってキョロキョロしていると後ろからぶつかられ


「子供がウロウロしてるんじゃねえ!邪魔だ」


 北斗○拳等で出てきそうな格好をした者に跳ね飛ばされ、カウンターにぶつかり倒れた。


 そしてきりっとした格好をした綺麗な女性に声を掛けられる。まだ若いエルフのようだ。片目にのみ眼鏡をかけて知的な香りがする。


「あのー大丈夫ですか?」


「あっ、はい。ありがとうございます。ここは何処ですか?」


「えっ?看板に書いてありますけど?見なかったんですか?ここは冒険者ギルドですよ。見た所冒険者のようですけど、ギルドに御用ですか?それとも新規の登録希望者ですか?」


「あっはい。ダンジョンを攻略しなきゃならないのですが、どうすればよいのでしょうか?」


「はあ?あの、言っている意味分かっていますか?」


「あははは。来たばかりで何もわかっていないんです。さっきもダンジョンから何とか逃げてきたのですけれどもね」


「えっ?君まさか?ちょっとそっちでお話をしましょう?何だか訳ありそうね?時間ありますか?」


「あっ、はい、お願いします。」


 先程から道を訪ねたりしても相手にされなかったが、話を聞いてくれる者が、それも親身になってくれそうな者が現れたのだ。その女性がまるで女神に見えてオーラさえ見えそうだった。


 そして個室に案内され、扉が閉められるのであった。

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