第12話  やっぱり離れ

 慌ただしかったが、ライチ団の女神が住んでいた屋敷に向かっている。何故か晃はイザベラとターニャに腕を掴まれて半ば引きずられるように向かっていた。


 考える事が多く、脇に逸れて一度ならず何度も柱等にぶつかりそうになっていたからだ。


 そんな様をローランとレオナがニヤニヤしながら見ていた。


 既に団の中ではターニャは晃の女認定だ。


 そして屋敷についたが、二人とも唖然とし固まった。

 屋敷が立派すぎたのだ。


 庭の手入れも行き届いていて、Vの字状に広がる屋敷は豪邸だった。


 まだ何人かが住んでいるから今日は客人用の離れにて寝る事に成った。


 離れと言ってもちょっとした屋敷だ。2階に居室が6、1階にリビングと隣接するダイニングキッチン、応接、風呂、トイレ、客間、主人用の執務室があり、十分広い。


 本邸の半分だが2階は階段とトイレ、最小限の廊下、それ以外は全てホールだ。舞踏会等も開く事が出来る。

 1回階は吹き抜けになっている玄関ホール、大浴場男女、小浴場2、食堂、厨房、使用人控え室、応接室、宿泊を伴わない客室、トイレそして3階にリビング、寝室、居室10、主人の執務室、トイレがある。


 またVの字の片割れにはクランのメンバーや使用人の居室が各階に20,計60室有る。


 布団など全て揃っていて、離れに行くがイザベラが一人が怖いと震えていて、一緒の部屋で寝る事になる。


 完全に六連星以外が居なくなるまでは離れに暮らす事になり、風呂は一つなので交代で入る事になる。


 流石に食事はないから、今日はいつもの?食堂に繰り出してどんちゃん騒ぎだった。バックヤード団も繰り出していて、騒がしくも楽しい飲み会?になっていた。

 誰かが晃のお茶とエールをすり替えて晃がお酒を飲んでしまったが、コップ半分位で異変に気が付き、飲むのを止めたが、晃はぶっ倒れた。弱すぎたのだ。


 そして誰かが離れのベッドに寝かしてくれた。そこまでは問題も多いとはいえ、あるあるだ。


 問題は翌朝だった。ベッドに何故か半裸のイザベラがいる。まあ分からなくもない。一緒に過ごす事が多いから。しかしターニャまでいた。着痩せするようで思ったよりデカかった。推定84と晃は冷静に見ていた。が、何故ターニャがいるのか分からなかった。まだ薄暗かったが、起き抜けに


「私、初めてだったの」


 とイザベラとターニャに言われる。

 シーツには意味有りげな薄い赤いシミが2ヶ所有った。

 思い浮かべる事は一つ。

 二人の純潔を散らせてしまったと。既に冷静な判断が出来ていない。

 何が初めてか勝手に判断したのだ。そして晃は見事な土下座を決め


「謝って済む問題じゃないけど、ごめんなさい。えっと、責任をちゃんと取ります。二人共僕の奥さんになって下さい」


 二人が驚いていたがターニャが


「あのね、まだ会って数日だよ?良いの?本当に晃くんの奥さんに二人共してくれるの?」


「お、男に二言は有りません」


「ふふふ。アシスタントさん、そのへんにしてあげたら?誤解しているよ」


「ちょっとイザベラ様は黙ってて!」


 ターニャの気迫に押黙るイザベラ


「は、はい。」


「じゃあキスしなさあい」


「あれ?ターニャさん?酔ってるの?」


「よっでなんがいまぜんよーだ。勘違いしてるけど、好きな人に勘違いでも妻にするって言わるたらうんというのら・・・」


 寝てしまった。


「あのね、私達を妻にするってそれは嬉しいけど、こんなのはフェアじゃないから今のは無しね。うんとね、まず初めてってのはね、酔い潰れた事なの。それと、この染みは酔っていて下着の処理を誤ってその、漏れただけだから。その、女の子の日なの。だから安心して、二人共まだ清い体だから。騙した感じでごめんね。だから文字通り忘れてね。その前に恥ずかしいからクリーンを私達とシーツにお願いね」 


 クリーンを確認後イザベラは晃に記憶操作をした!ではなく、マジックアイテムを使い晃を眠らせた。基本的に女神は初契約者にぞっこんになる。イザベラも分かってはいるが、初契約者に対する影響で常に晃を自分の物にしようと無意識に動くのだ。


 2時間後目覚めると晃は一人だった。隣の部屋にイザベラがいてもう一つにはターニャがいた。晃は混乱した。確か3人で寝ててシーツに染みがあって、勘違いから二人にプロポーズを・・・

 二人に布団を掛け直すが、ちゃんと寝間着を着ていた。


 晃は夢かとぼやきながら2度寝じゃなく3度寝をするのであった。いよいよクラン六連星の始動の朝を迎えるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る