第6話  ヒュドラ

 晃は10階層に降りると戦いやすい場所を探した。


 少し開けた場所に来たが、魔物がいた。二足歩行のリザードマンが数匹いたが、何故かさくっと倒す事ができて、ヒュドラに備えた。


 目の前に現れ、尻尾の一撃で吹き飛ばされるも、回転しながら天井を蹴り首の一つに斬り掛かる。

 半ば切断したが、他の首に振払われた。


 壁に激突し、空気が抜け、ぐはっと呻く。


 まだ220


 逃げても追いつかれる。

 しかも攻撃が激しく近寄れない。

 時折壁を伝って走り、切りつけダメージを入れるも大して効いていない様子だ。


 なんとか体を伝い駆け上がり首まで行き、2つ目を切り裂く。首は3m位の高さにあるのだ。晃は軽業師よろしく飛んだり跳ねたりしていた。体が軽く感じていた。


 2つの首がブラブラになる。

 晃は知らなかった。ヒュドラは首を斬られるほど残りの首に力が集まり素早く強くなると。

 心臓をやらねばならなかった。150

 何かを飛ばしてきた。

 歯か何かだ。剣で弾いたり避けたりするが、肩をかすった。

 かすっただけだが、左肩が外れた。

 劇痛に唸る。


「レヴィどうか逃げきって!僕はもう」


 それでも人の心配をする。

 すると11階層から戻ってきたパーティーが傷ついたヒュドラと遭遇し、遭遇戦になった。


 晃は助かったと思ったが、あっさり吹き飛ばされていく。


 しかし晃はその隙に逃げなかった。

 壁に肩を打ち付け無理やり肩を入れた。

 吹き飛ばされてた者は命に別状はないが、ヒュドラが追撃をしようとしていた。


 不味いですと唸りながら矢を射掛け、再び自分にヘイトを向けさせた。

 中級パーティがあっさりやられてしまった。50


 晃は恐怖していた。歯が立たなかったのだ。ガチガチ歯が音を立てる。

 今の自分の手に負える相手ではない。何故こんな奴が上がってきたのか理解できなかった。本来の階層からは抜けられないのだ。


 そう、連れてきた奴がいたのだ。



 晃は本来の力以上に動いていた。いや、動けていた。仲間であるレヴィの危機がイザベラのギフトによりレベル6以上の力を一時的に発していたが、それでもヒュドラの方が強かったのだ。


 魔法に頼るしかないと、今はそうだと確信し、時間を稼ぐ。


 みっともなく逃げた。

 何度かいつの間にかヒュドラの背後にいたりする。足を切り裂く。攻撃が来るとまた景色とヒュドラの位置が変わる。その度に頭痛がする。


 やがて時間が来た。

 ヒュドラが魔法陣に囲まれ輝き出し、突然中心に向かい縮まりだし、サッカーボール位になり、次の瞬間爆散し、ドロップの魔石と剣2本を残した。


 ドロップを拾い、倒れている者を起こし一緒に9階層上に上がる。幸い打ち身だけだったようで痛みに喘ぎながら、晃は感謝されまくっていた。


 2本の剣は既に折れていた。ドロップは代わりの剣になる。折れた剣先は先のパーティがたまたま拾ってくれていた。


 まさかこんな所でレベル6以上の方に助けられるとはと言われ、自分は2だとと答えると唖然とされた。攻撃魔法は極大魔法のみを持っていて、それを使ったと。たまたまだと。確かに魔法で倒したと確信していた為、極端な能力と苦笑いされた。


 程なくして外に出た。レヴィが泣きじゃくりながら謝ってきたが、無事だよと慰めた。


 昼前だったので、また明日ギルドで先のパーティと合う事にし、引き上げたのであった。ただ、そのパーティ5人の様子が明らかにおかしかった。

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