第3話  騒動と魔法取得

 屋敷に向かう前にルーシーを店まで送り、ルーシーの働く店でおやつを買う。イザベラへの土産だ。ちょっとしたおやつもあった。甘い物はあまり食べないが、女性は好きだろうと、甘味を探した。


 街中である噂を聞いた。どうやらならず者が街に襲撃を掛け、無事撃退されたとか、そうじゃなく誤解だったとか色々だ。先の走っていたのは襲撃と勘違いし、我先にと逃げていたのだ。


 ふーん程度でスキップをしながら屋敷に向かう。意図せずにだがターニャさんとちゅーされたとか、ルーシーは可愛かったなとかそんな感じだ。


 離れに着くとイザベラが掃除をしていて、何とかキッチンとダイニング、居室一つは生活できなくはないレベルになったと言う。


 確かに全体はまだまだたが、住めなくはない。


「女神様凄いです。頑張りましたね。あっそうだ、おやつを買ってきたから食べませんか?」


「気が利くね!さすがは私が選んだパートナーね!さあ食べさせて」


 よく見ると雑巾を持っていて食べられない。挑発とかではなく、手が汚れていて食べられないんだ。

 だからお団子を口に入れてあげるが、


「晃くん、間違ってるよ。女神には口移しで食べさせるしきたりがあるのだよ。さあさあさあ!」


 イザベラは口を少し開けて目をつむっているが、口に普通に押し込み


「女神様も冗談を言うんですね。そういえば倒れちゃった僕にターニャさんが口移しで解毒ポーションを飲ませてくるたんですよ。あのひとも凄いですよね!」


 イザベラはわなわなと震え


「不純異性交際禁止!良かった。私が晃くんの初めての相手で」


 と訳のわからない事を言っていたので晃は首を傾げていた。前日に、女神が一人だけにしか上げられない特別な加護、イザベラの場合は詠唱破棄を上げたのだが、口移しでしか与えられないので、キスではないが唇は確かに触れていたのだ。


 離れは明日から住む事にし、明日は布団とかを買いに行く事になった。 


 戸締まりをしっかりし、宿に向う。布団があれば寝泊まりは問題なさそうだった。


 帰りに適当に選んだ食堂で夕食を食べてから宿に戻った。


 晃は宿で新装備の確認をしていた。足項とブーツを特に念入りに確認していく。


 そんな様子をイザベラはじっと見つめていた。


 猛烈に晃にアタックしてはいるが、押すと引いてしまい、相手にされていない。寧ろ他の女の影に怯えるくらいだ。ターニャとかターニャとか。


 しかし、今は真剣な晃にきゅんとなり後ろから抱きついた。


「無理しちゃだめだぞ。今日も盾に矢が刺さっていたでしょ?死んじゃやだよ。私はもう一人は・・・」


「はい。僕も死にたくはないですし、絶対に大好きな女神様を一人になんかしませんから」


「うん。約束してね」


 何故か泣いている女神が愛おしくなり晃はぎゅっと抱きしめ頭を撫でる。イザベラは晃に頭を撫でられるのが好きだった。


「仲間を増やさないとですけど、まずは二人で頑張りましょうね」


 やがて晃の胸でイザベラは泣きながら寝てしまった。

 そっと布団に寝かせ掛け布団を掛ける。

 疲れたんだろうと思い、そっと着替えた後の服や下着を洗いに行く。部屋干しになるが、パンティやらブラを見て真っ赤になりつつ干していく。


 昨夜はイザベラがしてくれていたのだ。


 次に晃は魔導書を出す。

 先ずは生活魔法だ。

 魔力を本に込めると取得できる。一冊に付き一人のみ取得可能だ。

 水を作ったり、小さな火を出し木等に暫くまとわりつかせ着火する着火魔法。


 またお湯を出したりするのもあった。

 魔導書には何ができるか書いてある。文字は読めないが頭に直接入ってくるのだ。

 そして晃は真っ赤になっと行った洗濯が不要だったと分かった。

 クリーン魔法があったのだ。

 汚れを落とし綺麗にする。

 体に触れば服や頭も綺麗になる。


 これを持っているとどのクランからも引っ張りだこで、支援要員としての需要が高い。

 ダンジョン遠征に水を持っていかずに済むし、寝る前に触ってもらいクリーンを掛ければ綺麗になる。洗濯も不要だ。風呂に入るのとは別だが、野営には大変有り難い。


 また、収納ギフトを持っているクランがあり、サポート要員を派遣しているとか。

 ダンジョンは放置すると魔物が外に湧き出る。

 攻略すればダンジョンは消えるらしい。最古のダンジョンはわからないが、他は消えるらしい。なので、街中に新規ダンジョンが発生すると懸賞金が出て攻略を促す。


 白紙の魔導書は魔法作成が出来るようだ。晃は極大魔法を考えた。発動に時間と膨大な魔力を必要とするが絶対的な必殺魔法を欲した。

 法則があり、時間が掛かるほど強力になる。また魔力を必要とする。選択可能な限りで最大威力を欲した。

 最終的にチャージにレベル1だと5分掛かるのを選んだ。詠唱は1000文字になるがイザベラからのギフトで省略可能なのでかなりチートになる。


 魔法名 デストロイアール

 オリジナル極大魔法で、対象は一体だが、使えば体が爆散し必ず倒すチートなのだ。


 それとギフト名とは裏腹に、イザベラのギフトは仲間が窮地に陥れば陥るほど身体能力が増すし、普段はギフトの影響で戦闘時は基本的な身体能力が倍になるハブが掛かるのだ。但し、クランマスターは通常から倍、戦闘時は3倍だ。

 そう、かなりのギフトだった。ただ、3倍より上は体力をかなり消耗するので要注意だ。


 普通の魔法を今は使えないが、絶対的な相手に対し、暫く時間を稼ぎ倒す選択をした。そうやって検証をしていたりしながら、机に座りながら寝落するのであった。

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