自主的な努力こそが、成長の鍵。――4

 それから4体のスウィートドライアドを倒し、同数の『蜜』を手に入れ、俺たちはレベリングをはじめることにした。


「待っているあいだに、ゴールデンビートルについて話しておく」


 コナラ属の樹木に『蜜』を塗り終えた俺は、戦闘の参考になるよう、レイシーとケイトにゴールデンビートルの情報を伝える。


 レイシーとケイトが、「「お願いします」」と声を揃えた。


「ゴールデンビートルは木・鋼属性。STR筋力VIT耐久力MND精神力が高く、DEX器用さINT知性が低いモンスターだ」


 真剣な顔付きで、ふたりが「「ふむふむ」」と相槌あいづちを打つ。


「スキル構成は、先制効果を持つ直接物理攻撃『スピードタックル』。同じく物理の直接攻撃『トラストスピア』。木属性の魔法攻撃『リーフエッジ』。VIT・MNDを30%上昇させる物理スキル『ソリッドフォーム』だ。――以上の情報をもとに、ゴールデンビートルをどう攻略するか考えておいてくれ」


「「はい!」」


 返事をしたふたりが、顎に指を当てて黙考もっこうをはじめた。俺の言うとおり、ゴールデンビートルとの戦闘をシミュレートしているのだろう。


 非常にいい姿勢だ。素直な生徒は伸びるからな。


 ビビビ……


 ふたりを眺めて感心していると、不意に羽音はおとが聞こえた。


 羽音がしたほうを見上げると、金色こんじきに輝く、大型犬サイズのカブトムシが飛んでいた。


 どこからともなく飛来ひらいした金色のカブトムシは、俺が『蜜』を塗った木に止まり、『蜜』を舐めとりはじめる。


 俺はレイシーとケイトにしらせた。


「来たぞ、ふたりとも。ゴールデンビートルだ」




 ゴールデンビートル:36レベル




「全身きんピカです!」

「『お宝持ってるよ』って主張しているような見た目だね」


 レイシーが驚き、ケイトがまとた表現をする。


 エリーゼ先輩とミスティ先輩も、「「おおー!」」と感嘆かんたんの声を上げていた。


「まずはひとりずつ挑戦してくれないか? ふたりの従魔士としてのプレイヤースキルがどれほどのものか、見てみたい」

「「了解(です)!」」


 提案した俺に、レイシーとケイトが敬礼する。


「よし! じゃあ、レイシーから行ってみるか!」

「わかりました!」


 レイシーが「むん!」と気合を入れ、ふたつの魔石を放り投げた。


「行きますよ! リーリー! ピート!」

『リィ!』

『ワウッ!』


 現れたリーリーとピートが、元気よく返事する。


『GIGIGI……』


 リーリーとピートを敵と認識したのか、『蜜』を舐めていたゴールデンビートルが地面に降り立ち、威嚇いかくするように角を向けた。

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