第5話 絶望なんかしてやらない。
近づく交差点。
目の前の信号は青。
私は全力で立ち漕ぎ!
全部出せ! もうちょっと!!
部活の時でもこんなマジになったことない。
それくらい全力だった。
信号。
黄色。
点滅。
今、私が交差点に飛び込んで渡ってしまえば、
そうすれば振り切れる。
だったらそうするしかない。
息を大きく吸い込む。
肺に酸素を取り込む。
息を止める。
無呼吸運動。
加速する!!!
心臓が、
爆発しそう。
でも、まだ!
まだ、いける!
交差点は目の前!
これで振り切れる!
よし!
私が胸の中でガッツポーズをする寸前――
――追いかけてきていた自動車が急加速した。
私よりも先に交差点へ突っ込んでいくのが、見えた。
「こっの……!」
どこまでしつこいの!?
その瞬間の私の心中は、恐怖よりも怒りが勝っていた、と思う。絶望とか、そんなものは知らない。してやらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます