第44話 王都最後の夜
私は彼と奴隷契約を行った。
首輪も枷もそのままだ。ただ手枷や足枷は、拘束する為の鎖はつけていない。あくまでも見た目のインパクトを狙ってのことだ。
私は彼の思考が分かる。なぜなら、彼と私は同じ世界……そう、日本の出身だからだ。
少なくともこの世界の、剣と魔法と奴隷が当たり前に存在するような世界観の人間とは、一線を画すのは間違いない。
そして、既にリアルな奴隷制度が絶えて久しい私達の世界の人間からすれば、両手両足に鉄の枷が嵌められているのは、想像以上の絶望感を味わうことだろう。
まずはそこからだ。そこから彼を調教していくのだ。
「これであなたは私の奴隷です」
「はい」
「いいですか、私の命令には絶対服従ですよ」
「はい……分かりました」
でもはっきり言うけどあんまり信用してない。
だってどう見ても学生なんだもん。多分高校生か大学生くらい。二十歳前後。
ヤンチャしそうだもん。大丈夫かなぁ。
まあ魔法でなんとかすればいっか。
「あと今後は敬語で私達に接しなさい。色々とその辺の線引きはキッチリしましょう」
「わ、分かりました」
「私は鞭を持っていませんが、その代わり色々な魔法を使えます。所詮女などと思わないように」
「も、勿論です」
……不安だ。
さてさて馬車に乗って宿に戻ると……そこには一陣の風が。
「只今帰ったぞ……」
「あぁギンシュちゃん、もう行っちゃうの……イヤよ、イヤイヤ。私ともっと一緒にいてぇ!」
「今の今までずっと一緒だったではないですか母上!」
ギンシュ親子である。でも正直、あの態度を見てるとどっちが親でどっちが子か分からなくなりそうだ。
「あんまり言う事を聞かないと……」
「ど、どうするの!? ギンシュちゃんどうするの!? あぁでもおしおきを想像すると興奮しちゃうぅううう!!」
「実家にある母上が集めた私に関するモノを全て処分させますから!」
「ひぇっ!? それはダメよ! 絶対ダメ! 全部ぜぇええんぶ私のたいっっっっせつなモノなんだから!!!」
「ではここでお別れですな。またいずれ」
「あぁそんな……ギンシュちゃぁああん……」
「済まない。遅くなったな」
「ううん、大丈夫だよ。私の予定は一応全部終わったから」
「そうか。なら良いのだが……それで、その連れているのは……もしかして、新しい奴隷か?」
「うん、そう。ほらご挨拶して」
「え、えっと……今日からエルフさんの奴隷になりました、
あ、そういう名前だったんだ。そういや聞いてなかった。
「ほう、変わった名だな。私はギンシュ=ライ=バニングだ。エリィの奴隷、という扱いでいいのか?」
「うん、そのつもり。あと今更だけど私がエリィでそっちがミレイ。皆私の仲間だから、その辺しっかりしてね」
「はい!」
さて宿に入って……そういえば、食事ってどうするんだろう?
「奴隷の食事ってどうするの? 私奴隷とか飼ったことないから分からないんだけど」
「基本的には別だな。主人と同じ食事は食べないのが普通だ」
「ちなみにどんなもの食べるの?」
「さあ、そこまでは知らんな。ただ主人よりかは随分と格は落ちるだろうな」
どうしよっかなー。でもさ、ご飯くらいは美味しいもの食べたいよね。
とか考えてたら、奴隷のハジメ君のお腹から凄い腹の虫の音が聞こえてきた。
「す、すみません……もうここ数日、ロクに食べてなくて……」
そんな彼を見て、ミレイが裾をくいくい。
そうだよねーミレイは空腹の辛さを誰より知ってるもんね……
「彼の事はどうとも思ってないけど、お腹が減るのはとっても辛いですぅ……しっかり食べさせてあげたいですぅ」
「だったらミレイのご飯あげたら? ミレイ普段から殆ど食べないんだし」
「そうしますぅ!」
「……いいんですか?」
「あげたいって人がいるんだから、素直に貰っておいたら?」
「だ、だったら是非!」
「あぁでも、一応奴隷の立場だからね、食べる場所は同じ机じゃなくて、地べたになるけど」
「ご飯がしっかり食べられるなら、そこまで気にしませんよ」
なら良かった。
今日のご飯は三人前お願いして、私達は待機。
その間に、彼から色々と話を聞いてみる。
こっちに飛んだ日付は、確かに私よりも後だった。
あとその時、誰かと一緒にいたのでもしかしたらその人も飛んでるかもしれない、と。
ただその人に関してはなんだか曖昧な答え方をするので、もしかしたら会いたくないのかもしれない。
あと、私も同じ転移者、つまり『神の落し子』であることは伝えておいた。すると
「ちょっと待てよ!? なんで魔法が使えてるんだ!? そうかエルフだからか!? いやでもどうしてエルフなんかになってるんだ!?」
「はい敬語崩さない。まあその辺は秘密。あなたに話してもいいかなって時がきたら教えてあげてもいいけど」
「くっそう偉そうに」
「偉そうにじゃなくて偉いの。今はご主人様と奴隷の関係だから。あと多分私、前の世界で社会人だったからあなたより年上よ。もう少し礼儀とかあってもいいんじゃない?」
「同じ日本人を奴隷にして喜んでる奴に礼儀もなにもあるかよ」
あっそ。そういう態度とるんだ。
「別に喜んでないけど。あの時話したはずだけど、私はむしろあなたの事情を知ってるからある程度優しくしてるけど、普通に奴隷を買ったらそれこそなにされてもおかしくないのよ? その辺分かってる?」
「うっ……」
「変態お貴族様に買われたら、太ったお貴族様にお尻の穴掘られてお尻でしか感じられなくなってそのまま屋敷の地下牢で一生過ごす羽目になるかもしれないのを、私は救ってあげたの。感謝されてもいいくらいだけど。それとも私達であなたのお尻、開発しちゃってもいいのよ?」
「ひいっ!? すいませんホントすいませんでした! これからきちんとするのでお尻だけは勘弁して下さいいいぃぃ!!」
「まあ……それも今後の態度次第かな?」
「が、頑張りますのでどうか……」
「まあいいけど。じゃあ食事にしましょ」
という訳で四人で食事をした。色々と特殊な食事だったけれど。
奴隷のハジメ君は、出された料理を片っ端から『うめぇ! うめぇ!』って言って泣きながら食べてた。それ見てミレイもちょっと泣いてた。ギンシュは『確かに美味しいが……そこまでか?』とか言ったらミレイが睨んでた。私も『数日何も食べなかったら、どんな食事でもああなっちゃうよ。今度試してみる?』と言っておどかしておいた。
さて……夜である。
どーしよ。折角だから……彼には奴隷の立場っちゅーものを思い知らせちゃる。
の前に説明しないとね。
「さてこれから私達はお風呂に入ります。でもその前に……ミレイの食事をします」
「そういえばミレイさんは食事してませんでしたね」
「彼女は特別なのです。サキュバスって言えば分かる?」
「サキュバス!? ええ分かりますよ分かりますとも! 精を餌にする種族! えっちょっとまってこれからもしかして……そーゆーことしちゃうの?」
「そうね。そういうことします」
「じゃあ俺脱いだ方がいいんですか?」
「いいえ。あなたは脱がなくていいの」
「へ? でも男の精がいるんじゃ」
「別に精は男のじゃなくてもいいのよ。つまり……私や、ギンシュのでも」
「お姉さま……どうするんですぅ?」
「あなたは……そこでじっと見ているだけ。触れることも、何かをすることも禁止。そうね……魔法でこうしておきましょうか」
そう言って私は【土魔法】で彼の両腕を後ろにまわし、土を岩のように固くして動けなくしてしまった。
「えっ!? ちょっとまってこれ動けないんですけど」
「そうよ? 全て禁止。見たり聞いたりだけは許してあげる。じゃあ二人とも、はじめましょ」
「えぇ……見られちゃうんですぅ?」
「そーよー……興奮するでしょ?」
「そ、そんなぁ……」
「あーあー顔とろけさせちゃって。楽しみね」
ミレイはもうふわっふわだ。対してギンシュちゃんは赤くなってる。
「お、おい……私もか!? 私は嫌だぞ!? 男に見られるなんて!」
「だーいじょうぶだいじょうぶ。どーせ始まったらギンシュもおねだりしてくるんだから」
「しっ、しないぞっ! しないからなぁ!!」
今日は彼が最初なので、彼のボイスサンプルをどうぞ。
「うわぁ……すげぇ……なんて声あげてんだよ……」
「ぐっちゃぐちゃだ……あんなになってんだ……」
「女同士ってやべぇな……その辺のAVなんか目じゃねぇや……」
「やべぇこいつぁちょっとシコり……ってこれシコれねぇじゃねぇかぁ!」
「嘘だろ生殺しかよ……そんな……そんなぁ……」
「こんなの……こんなのってねぇよ……うっうっ……」
「お願いだよぉ! ちょっとで! ちょっとでいいからぁ!!」
「自分で触らせてくれよぉ!! こんなぁ……ふぐぅっ……」
はい本日はしゅーりょー。
二人はぐずっぐず。そして地べたで座ってた彼もぐずっぐず。
「どうだった?」
「お願いします! ちょっとで! ちょっとでいいから触らせて下さい!」
「だぁめ。ご主人様は私。あなたはそーゆーことすら自分で出来なくなっちゃったの。じゃあ折角だから……もう少しいじめてあげる」
「えっ……これ以上何を……」
私は【闇魔法】でえっぐい仕掛けを作って、彼に印をつけた。まずは竿の根本に黒い線を一本。あと竿には蛇が絡んでいるような紋を、股間の二つのボールにはハート型の紋をそれぞれ。
「今、魔法であなたのそこを色々支配しちゃったから。まずこの線は出せないようにするもの。あとこの蛇はかたくならないように。そしてボールの方は元気にさせちゃう。つまり……どういうことか分かる?」
「えっと……俺の息子はかたくならないけど溜まる一方でおまけに絶対に出せない」
「せいかい!」
彼はサーッと青い顔になる。
「そんな! こちとらまだ十代の学生だぞ! そんなことしたら死んじまう!!」
「別に一生じゃないから。時々は出させてあげるから」
「と、『時々』って……どれくらい?」
「私の気分次第。いい子にしてたらね……」
「わ、分かった! いや分かりました! ホントいい子にしますんで! 絶対しますんで!!」
「口だけならなんともいえるから。とりあえず今日はこのまま。明日から頑張ってね」
「そっ……そんなぁ……」
「あ、拘束は外しといてあげる。私達はこれからお風呂入るから、それまで待っててね。慰めてもいいけど……多分辛いだけだから、やめといた方がいいわよ」
「うぅ……」
私達三人はお風呂入ってあーさっぱり。
部屋に戻ったら彼は必死でしごいてたけどどうにもならずに泣いてた。あーあ。
お風呂入っていいよって言ったけどぐずぐずになってた。
何より私達の裸を見たのに全く反応しない自分の股間を見て、余計に泣いてた。……ごめんね。
でもそうでもしないと、唐突に勢いとかで襲われると怖いからね。許してね。
……許されないよなぁ。
なんか私、今完全に悪女やってるわ。悪女ってか女王様かな。うわぁ。
でもしょーがないよね。奴隷だもんね。
奴隷に自由なんてないんだよ。いずれあげるけど。今はないの。
少なくとも、私達の信頼を手に入れるまでは……このままってことで。
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