文化祭って王道だと思います2

 数分後、俺たちはお化け屋敷から出て来た。


「お、おまえ、ビビりすぎだろ」

「うるせえ黙ってろ。てかお前は笑いすぎだろ」

「だって、お前、ビビりすぎで、ふっはは」


 そんなに笑う事かよ・・・やっぱりこいつクズだわ。

 まあ確かにちょ〜っとだけビビたっけどね、ちょ〜とだけね!


 その後も俺は沓沢と色々と回った。

 音楽室を使っている軽音楽部の演奏や二年生のカフェ、体育館でやっている演劇なんかを見たりもしてまあ楽しかった。


 それでも時間は着々と進んでいき時間は十時。 

 俺は何故か小林に呼び出され沓沢とはそこで別れた。


「よっ蓮」

「お前は男子か小林。もうちょっと女の子らしく振る舞った方が良いぞ」

「なんだかんだでそう言うところだけ良さしいよね〜」


 今の発言に含まれていた「だけ」ってのが少し気になるがまあ別にたいした事ではないかと思いあまり深く考えない事にした。


「ところでなんでここに呼んだかわかる?」

「は?わかる訳ないだろ。逆に分かると思う?」

「いや、思わないけど」

「ストレートに言われるとなんかイラつく」


 そんな会話をしながら歩いているうちに俺のクラスの目の前に着いていた。

 いやなんで小林が俺をここに連れて来てくれたのかはさて置き俺もここには午前のうちに来てみてたかった。

 それはなんと言っても加藤さん&佐藤のメイド姿が見られるからだ。

 これをみたくない奴はいないよなそうだよな?

 まあこれを見なかったら最低でも人生の一割は損をしていると言える自信がある!


「よう佐藤、後加藤さん」

「なによ後って私はついでなの?」

「ごめんそんなつもりはなかったんだけど」


 アレレナンデカトウサンハオコッテイルンダロウ?

 怒っていると言うのが伝わって来るほど顔や雰囲気に出て来ている。

 顔には怒っているのが分かる感じの笑い顔が浮かんでおり、雰囲気は目には見えていないはずなのに黒いオーラが見えている。


 やっぱり普段優しい人って怒ると怖いって本当なのかな?

 それとも加藤さんが特別な感性の持ち主なのかそれはわからないけど・・・。

 まあとにかくなにが言いたいかと言うと加藤さんが怒っているのがわかりその怒りを俺は怖いと感じてしまっていると言う事だ。


「で、なにをしに来たのかしら」

「なに言ってんの加藤ちゃん、蓮が加藤ちゃんと佐藤ちゃんのメイド姿見たいって言ったからに決まってるじゃん」

「おい小林、誤解されるようなこと言うなよ。違いますよお二人さん、こいつの言っていることは全て嘘でして、決してそんなことは考えておりません」


 いやまあ考えてないって言うのは嘘なんだけど、まあバレないよね?


「いやそんなに目を泳がせながら言われても説得力無いんだけど」

「うんうん」


 二人は顔を赤らめ佐藤は近づいて来て加藤さんはそっぽを向いた。

 いや佐藤はなんで近づいて来てるの?てか近く無い?


「へ〜そう言う風に私のこと見てたんだ〜。で、どう私似合ってる?」

「おう、似合ってるぞ」

「そんなまじまじ見られながら言われると照れちゃうよ?蓮」


 待ってこんなに佐藤って可愛かったっけ?いやまあ前から可愛いのは知ってたんだけど。

 それでもこんなに可愛いと思ったのは初めてだ。

 これがあれか?萌えってやつか?現実でこんな場面に出くわせるとは思わなかったぞ俺。


「わ、私も似合っているかしら?」


 やばい可愛いだけど、照れながら聞いて来るとか可愛すぎるんだけど、あれかこれがギャップ萌えってやつか。

 いつもは可憐でそれでいてクールという印象だ。

 だからこんな加藤さんを見るのは初めて、かも知れない。


「に、にあってるよとっても。可愛いと思う」


 加藤さんの顔が沸騰したかのように赤くなってそれに気づいたのか顔に手を当てそれを隠し後ろに振り返ってしまった。


「あ、あの加藤さん。なんでそっちを向いちゃうんですか?」

「なんでも無いわよ」


 そう言った瞬間すぐにこっちに振り向いた。

 加藤さんのふり向いた時の顔はハムスターのようにほっぺたが膨れていてちょっと触ってみたくなった。

 まあ俺にそんな度胸ある訳がなくほっぺたを触るなんてまた夢の夢なわけで・・・まあなにが言いたいかと言うと触りたくてもさわれないと言うことだ。


「加藤さん佐藤さん、早く仕事戻って来て〜」

「は〜い」

「わかったわ」


 そんなことを話していると加藤さん達が呼び出された。


「それじゃあ、また午後で会いましょう」

「うん、わかった」


 そう言うと加藤さんは行ってしまった。

 少し名残惜しい気もしたが仕事なんだから仕方ない。


「じゃあね蓮、また後で」

「おう」


 佐藤もそう言うと行ってしまう。

 そうすると必然的に俺と小林だけになってしまう訳でどうしたら良いのかあたふたしていると小林に話しかけられ行き先を提案された。

 そして俺はその案に乗り、着いていった。

 ちなみにその行き場所というのはうちの学校の屋上だった。

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