文化祭前2

 次の日


 文化祭前日学校は文化祭の準備で大忙しだった。


 と言いながらも俺はもう疲れ切っていて準備するのが辛いとまで思い始めていた。


 ああ、こんなに文化祭って疲れるも育ったのか。

 てかおかしくね?なんでメイド喫茶でこんなに疲れることがあるの?


 文化祭の俺の担当は力仕事なんだけど、何故かこの前日になって机が用意できないことがわかって材料を集めて今力仕事が担当の奴ら総出で机の制作に当たっている。


「疲れた〜〜」


 そんな気の抜けた声お出した瞬間に沓沢が俺の方に寄って来た。


「で?蓮、結局どっちにするんだよ?」

「そんなの簡単に決められるわけないだろ」


 まあ決まっててもこいつには言わないけど。


「あ、今決まってても言わない。って考えただろ!」

「ゲッ!なんでばれたし。でも決まってないのは本当だぞ」

「ふ〜ん信用ならないな」

「あ、そ」


 なんなんだこいつめんどくさい。

 そうこいつはモテるが大抵は二、三週間で別れを切り出される。

 その理由がこいつの性格にあるわけだが、こいつは何かと色々なことにまで首を出して来て、しかも聞

いて来たくせに会話の最後には「ふ〜んそうなんだ」と興味をなくしていたりしてなんなのこいつ!


 本当に見た目だけのやつだな、今考えると。


「まあできれば佐藤さんにしてくれよ。そして振られたところに俺が励ましに行って付き合うことになる」

「なんだその算段は、それを俺が聞いて答えを変えるかもよ?」

「そんなクソ野郎でないことはこの俺がよく知っている」

「なんだそれ」


 本当になんだそれ、そんなこと言ったって感動なんかしないんだからな・・・。


「それでさ今日このあと暇か?暇だったら一緒にゲーセン行こうぜ」

「いや生憎今日は用事がある」

「なんだ加藤さんか?」

「いや違う」


 なんだこいつしばき倒してやろうか。

 全く加藤さんの事となったらグイグイくるなこいつ。

 全くどんだけ加藤さんの事好きなんだよ。


「そっか〜そうなんだ〜よかった〜」

「ごめんその喋り方ウザい」


 なんだこの安心したかのような喋り方は。

 とてもとてもウザいな。

 まあでもそこがいいところになる時もあるんだよな。


「まあそれじゃあ俺帰るわ」

「おう。気おつけてな」


 本当にそう言うところは気遣いできるのにな。

 てかこんだけ学園ラブコメで学校の描写でない小説って珍しいよね。

 あ〜あでも佐藤も砂糖で結構過激なプローチして来てたからちょっと心配だな。

 よし気合入れて会いに行くぞ。


「え〜とここか」


 佐藤との待ち合わせ場所はもちろん佐藤の家だった。


「全く二人揃って家を集合場所にするとかなにを考えているんだか」

「ピンポンーピンポンー」


 お、ちょっと加藤さんの家とインターホンの音が違うな。

 どうでもいいけど。


「は〜いって蓮じゃん上がって上がって」

「お、おう」


 なんだこのデジャブ感は。


「で今日の用件は?」

「えっとね今日の用件は・・・」

「お、直球だね〜」


 ん?なんか加藤さんと違ってすらすらと進みそうだな。

 まあ、そっちの方が俺はいいけど。


「今日読んだ理由はね?」

「なんだよ早く言えよ」


 待って待ってなんか長くね?

 もしかしてもしかしなくてもこれって・・・。


「今日呼んだ理由はね、これだよ」

「え?」


 次の瞬間佐藤が俺も方へと近づいて来た。

 そして・・・。

 その瞬間俺の顔を二つの柔らかい物体が覆った。


 「あ、これ完全デジャブったわ」と思ったのは内緒。


 そして次の瞬間、


「好きだよ」


 と俺の耳に囁いて来た。

 俺はその瞬間、一瞬だけドキッとした。

 佐藤を少し引き離しこう言った。


「なんだよ急に」

「蓮顔赤いよ〜?」


 何度よやっぱりデジャブじゃん。


「まあ今日のところはもう帰っていいよ」

「わかった」


 そして帰宅途中俺はこう思った。


「文化祭最終日どうしよう」


 俺はどうしたらいいかもっとわからなくなってしまった。

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