こんなアプローチ聞いてない!2

そんな事を考えていると佐藤がいなくなるのを待っていたかのように加藤さんが話しかけて来た。


「蓮くん今暇?」

「あ、ええ暇ですけど」


 急に話しかけられた事もあってなぜ敬語になってしまった。

 その瞬間彼女は「ふふ」と小さく笑ってこう言った。


「あらあらちょっとまだ緊張しているのね?大丈夫よもし振られてもそんなに嫌ったりはしないわ。」

「そうですか?ってその事に対してじゃないんですけど」


 なんなんだこの人、なんとも言えないんだけどなんか、なんか怖い。

 なんて言ったら良いんだろう何を考えているかわからないのもそうなんだけど、もしかしてだけど稀に見るヤンデレ系ヒロインってやつなのかな?昔の記憶がここまで欲しいと思ったのは数日ぶりだ。


「そんなことよりもうどっちにするか決めた?」

「その言い方なんとかしてよ、女を手にとって遊ぶ最低主人公みたいじゃないですか」

「実際そうなりかけていると言うか一週間後にはそうなってるけどね」

「まあそうですけど」


 全く誰のせいだと思ってるんだ。


 はあ、もういっそのこと「俺が持てるのがいけないのか!」とか言えたら良いのにな・・・ってそれただの痛い奴!


「本当に顔に出やすいわね蓮くんって。逆にどうしたらそこまで顔に出るのかしら」

「それって煽ってるんですよね、そうなんですよね!」


 第一印象とは真逆の性格だな。

 でも、それでも一緒にいて楽しいしからかわれてもそこまで嫌な気はしない。


 やっぱり俺加藤さんのことが好きなのかな?


「あ、今加藤さんが好きとか思ったでしょ」

「な、内緒です」


 え?待って毎度の事ながらそんなに顔に出てるの俺?


「本当に蓮くんといて暇になったり退屈になったりしないわね」

「それは褒め言葉として受け取っておきます」

「受けっとておきます。じゃなくて本当に褒めてるのだけど」


 確かに褒めてはいるのだろう。

 どうせからかいやすいとかだろうけど!


「ってちょっと待って下さいなんか近くないですか?」


 考え事をしているうちに加藤さんは佐藤ほど近くにいないにしろかなり近い距離にいた。


「そんな事ないわよ」

「そんな事あります。僕はあなたの彼氏じゃないんです。もっと自分を大切にして下さい」

「そう言うところよね」


 全く何を言っているんだかこの

 てかなんだかデジャブを感じるしかも二重で!

 まあ別に気にしないけど。


「ちょっとなんかもっと近くなってません?!」

「そんな事ないわよ。これぐらい普通よ」


 またもや考え事をしているうちに距離を詰めて来ていた。


「そんなことはどうでも良いのよ」

「いやどうでも良くないんですけど」


 待って待ってこの感じはもしかして。


「あ、もう昼休み終わるわね」

「そうですね、だから自分の席に帰って下さい」

「わかったわ。じゃあ最後に」

「え?」


 次の瞬間俺の顔に柔らかい二つの物体が覆った。


 五秒ほどその物体は俺の顔を覆い離れた後にその感触が名残惜しいと感じてしまった。


 そうしてその感触を思い出していると顔が赤くなるのを感じた。


「じゃあね」

「・・・」


 俺が何も言えないのを悟って彼女は自分の席に帰っていった。


 なんなんだよ今日は嬉しいけど男子に目の敵にされないか心配だ。

 そう昼休みが終わる頃俺は男子達の視線をめちゃくちゃを集めていた。


 もうなんなんだよ。

 


 

 みんなアプローチが過激すぎるよ!

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