こんなアプローチ聞いてない!1

 数日後とうとう文化祭一週間前。


 ここに来るまでなんか色々とイベントがあったけどなんとかここまで来た。

 そう俺は何気に文化祭を超楽しみにしてたのだ。

 だけど忘れてはいけないことがある。


 実はこの前集まった時、俺の誤解が解けたあの日の帰り道であることがあった。



 ⬛︎


 時は遡り数日前。


 あーあなんか今日は色々と疲れたな〜。

 なんか十一年前にすでにもう加藤さん達に会っていた事を知ったとか、加藤さんも佐藤も俺のことが好きだったとか、沓沢が恋のライバルになったりとか。

 本当に今日は色々と濃い一日だったな、もうくたくただよパトラッシュ。


 そんな事を考えていると隣から声が聞こえた。


「ねえねえ蓮くん」


 そうだった今は加藤さんと一緒に帰っているんだった(沓沢も一緒だけど)。


「あのね蓮くん実はね」

「はい」

「実ははたし達昨日のうちにある約束ごとを決めて来たの」

「え?」


 なんなんだろうもしかして二人とも「沓沢くんのことを好きになる事に決めたの」とか?だったら僕いっそのこと橋からダイブしてこようかな。


 ほらショックが大きすぎて第一人称が「俺」から「僕」に変わってるでしょ?


「ふふ、大丈夫あなたが考えている事ではないわ。本当に昔から顔に出やすいね」


 今その一言だけ畏まった言葉使いではなくタメ口になった事を俺は見逃さなかった。


「あ、あのさ、もし無理してそんな畏まった言い方してるんだったらやめても良いよ?てかやめてくれた方が嬉しいな」

「そう?じゃあやめさせてもらうわね」

「うん!」


 ああ、なんかまた一歩近づけた気がする。


「じゃあさっきの続きね?私たちが約束したのは、文化祭中に私たちは少なくとも一回は告白をしに行くってものなの。だからちゃんと悩んで悩みまくって絵どちらかに決めてね?」

「あはは、ちょっと俺には重い決断かな」


⬛︎



 俺は当日までに決断を本当に出来るんだろうか?


 そんな事を考えつつ学校はもう昼休みになっていた。

 文化祭か確か俺のクラスはメイド喫茶だったよな。

 なんだか決まったのが最近じゃなくてかなり前みたいに感じる気がする。

 まあこれも先週が色々と濃い毎日だったからかな。


 でも本当に加藤さんが言ってたのが本当ならどちらにOKするか決めなきゃならない。

 こんなしょうもない男のどこが好きになったんだか。


 それでもこんな取り柄がない男でもあんな可愛い二人にちゃんとした決断しなきゃいけない。


 そんなこと考えているうちに俺は弁当を気づかないうちに全て食べ切ってしまった。

 あと昼休みは三十四分程度、こんな微妙な時間に食べ終わってしまうとは何しようかな。

 そんな事を考えていると可愛らしい声が俺のことを呼んだ。


「蓮〜」


 その声は聞いたことがあるものなら誰でもわかる声だった。

 みなさん御察しの通りこんな風に昼休みに俺のことを呼んでくるのは、まあ佐藤しかいないわな。 


「なんだい?パトラッシュくん」

「わたし犬じゃないもん!」


 それにしては近すぎでは?佐藤と俺の顔はもう鼻と鼻の距離がもう1センチ程度しかなく今唇を奪おうとすればそれは容易いだろ。


 でもまあそんな事をできるほど俺には根性も度胸もないし。

 あれ?同じ意味じゃね?まあ良いか。


 まあつまり俺はその瞬間佐藤の肩を掴み奥に遠ざけた。


「あれ何?もしかしてキスされると思った〜?めちゃくちゃ顔赤くなってるよ〜?」

「うるさい!もう彼氏じゃないんだからそう言う勘違いされるようなことやめろよな」

「わかったよ。でも一週間後にはこれ以上のことできる関係になってやるんだから」


 そうこれは彼女なりのアプローチだったのだと気づいたのは彼女が去って行ってからすぐのことだった。


 なんか際どくね?あれってアリなの?あいつって普通の女子高校生だよね?

 まああいつが良いなら良いんだけd・・・そんなわけあるか!


 あいつも振られた時のこと考えてさっきみたいなことやれよな、てかもうやるな。

 俺が振った時あんなことやってたら他の人との付き合いが難しくなるぞ本当に。

 何より俺がクラスの男子から勘違いされて色々と言われるんだよな。

 あと俺の心臓がもたない!


 それをあいつは理解しているんだろか。

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