本当の真実と恋2

 そんな事を思いつつも嬉しいと言う気持ちがそこにはあった。

 

 佐藤が俺を嫌いでは無いと言う確証を得られたと言う事と、俺の一目惚れの相手である、あの加藤さんが俺のことを好きだって言ってくれた、しかも昔会ったことが分かった。

 

 こんなにも嬉しいことがあるだろうか?

 他の人にはわからない、とは言わないけど、この感情は分かってくれる人が偏りそうなものだから。

 でもだからこそ俺はとてもとても嬉しくて、この感情を抑えきれなかった。

 

 だけどそれは抑えなきゃいけないものだから必死にその感情を抑えてさっき思いついた疑問を小さい声で加藤さんに聞いてみる事にした。


「あの、加藤さん」

「ん、何?」

「あ、あの沓沢の前でそんな事言って良いんですか?」


 その質問をした瞬間背中から汗が噴き出し瓊人でいくのが感じ取れた。

 その時俺は初めて緊張していたという事を知った。


「ふ、ふふ、本当に面白いね、蓮くんって」

「何がだよ!?」


 その対応を受けて俺は緊張が解けて腰が抜けてその場で尻餅をついた(ちょっと痛かった)。


「なんで転けているのよ、大丈夫よ。この事は沓沢くんも知っているから大丈夫よ?」

「何それ?沓沢はそれで良いのかよ?」

「良い訳ないだろ!だからこそ俺は約束したんだよ、君よりも僕が好きになるようにしてやるって」


 なんだよそれ、つまり俺は沓沢の恋のライバルってことかよ。

 そんなの、そんなの!、燃えない奴がいるかよ!


「そう言う事か」


 その瞬間自分の顔が少しずつにやけて行くのを感じた。


「そう言う事なら相手になってやろうじゃねーか」

「その前に確定でお前のことが好きな人もう一人いるの忘れてない?」


 そう沓沢に言われた瞬間に佐藤の方に振り向いたが、案の定佐藤は顔を赤くし頬を膨らませこちらを睨んでいた。

 その顔はなんとも可愛らしい小動物のようだった・・・例えばハムスターのような。


「もう、蓮なんか絶対に惚れさせてやるんだから」

「なんだよそれ可愛いな」

「え、蓮それって告白なの?」

「絶対に違う、それだけは違う、命にかけて」

「何それ傷つく!超傷つく!言いすぎだよ蓮」


 こんな会話いつぶりだろうな、今思い出したら付き合ってからこんな会話してなかったな。

 なんて考えていると後ろから服の袖を誰かに引っ張られた。


「ねえ、蓮君私とも喋ってよ」

「そ、そんな事を急に言われても、今まで何も関わりがなかった加藤さんと話すなんて・・・」

「なんでそんなに仲間外れにするの?」


 少し涙ぐむ『ふり』をしてそう問いかける。


「ご、ごめんそんなつもりはなかったんだけど」

「と言うか関わりが無かったってさっき十一年前に会っているって言ったわよね?」

「はい、誠に申し訳ありませんでした」

「分かれば宜しい」


 こんな会話があの加藤さんとできるなんて・・・最初に話したときは変な質問からだったからこんな風に会話できると思ってなかった。


 というか今ならなんであんな質問をして来たのか聞けるんじゃね?

 そう思い聞いてみる事にした。


「あのさ、じゃあ糸つだけ質問しても良いかな?」

「もちろん!何でもいくらでも聞いていいよ?」

「何その詐欺師の情トークみたいな聞き方」


 いつまでも話していたいと思った。

 でもそんな事を言う前にさっきのことを質問しなきゃいけない。


「じゃあ宣言どうり一つだけ、初めて高校で会った日に聞いて来たあの「好きな人って居るの?」って言う質問って何であんな事聞いたの?」


 彼女はため息混じりにこう答えた。


「そんなの決まっているでしょう?今好きな人がいたら告白しても付き合えるかわからないじゃない」


 やっぱりそうだったのか!よっし!やっぱり俺の予想は当たっていたんだ。

「え〜、加藤そんな事最初にあったときに聞いてたの?てかやっぱり呼び捨てやめない?せめてあだ名とかさ」

「ええ聞いたわ何か悪い?そうねあだ名にしましょうか」

「もう!一回の会話で二つの事会話するのやめてよ!」


 本当に器用なんだから二人とも。

 どうやって二つのことを考えながら会話してるのさ。


「まあまあ、それじゃあ蓮の誤解も解けた事だしそろそろ解散するか」

「そうだな沓沢。後漢字変換される言葉を連呼するな読みづらいだろ」

「そ、そうかすまん(何言ってんだこいつ)」


 そうしてその日はめでたく解散となった。

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